メジゴーリエ

メジゴーリエ: 忘れられた閉鎖都市

メジゴーリエ（ロシア語・バシキール語: Межгорье, Mezhgorye）は、バシコルトスタン共和国に位置する特異な都市であり、ウラル山脈の南端、小インゼル川の左岸に存在しています。現在、約18,000人が住むこの都市は、1994年まで地図上には存在しない存在でした。メジゴーリエは、特に注意が必要な閉鎖都市（ZATO）とされ、一般人の立ち入りは今なお禁止されています。

この都市はもともと1979年ごろに成立し、住民たちはウラル山脈の高峰であるヤマンタウ山での採掘作業に従事していたと言われています。彼らは閉鎖された環境で生活し、その対価として給与は通常の20%増しで支給されていました。一見して不便そうに思えるこの状況の中でも、メジゴーリエでは食料品が豊富に揃っており、特に当時不足気味だったサラミなどを容易に手に入れることができたとされています。

メジゴーリエに入るためには、特別な許可証が必要です。主に3種類の許可証が存在し、単数回許可証、一時許可証、永続許可証のいずれかを取得する必要があります。永続許可証は、閉鎖都市内で生まれるか、内部企業に勤務することによって得られます。一方、単数回および一時許可証は、都内に近親者が居住しているか、出張をする場合に発行され、その際には安全局による厳しい審査が行われます。このため、一般の旅行者や特に外国人が入ることは、ほぼ不可能とされています。

メジゴーリエの名称は後付けであり、かつては近隣の都市に数字を加えた呼称、 ベロレック15や16といった名前で知られていました。具体的な地域名が与えられることなく長年過ごされてきたようです。このような閉鎖都市がどのように機密保持を行い、社会や経済が成り立っていたのかというのは、非常に興味深いテーマです。

1990年代に入ると、アメリカ合衆国の衛星写真によって、メジゴーリエの存在とその内部にある採掘場や駐屯地の詳細が明らかになりました。そのため、この都市は国際的にも注目を集め、多くの謎を孕む存在となりました。閉鎖された社会の中で、どのように生活し、またどのように資源を操作していたのか、その実態は依然として多くの謎に包まれています。

メジゴーリエは単なる都市というよりも、政治的・経済的な背景を持った特異な場所です。閉鎖という特性の中で育まれたコミュニティは、どのようにして外部と接触することなく独自の文化を形成していったのでしょうか。今後の研究や調査によって、メジゴーリエのより深い理解が進むことが期待されています。このような場所がまだ地球上に存在すること自体が我々に新たな視点を提供するのです。

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