メットイン

オートバイにおけるメットイン機能：進化と利便性

オートバイは、自動車と比較して収納スペースが限られているのが一般的です。しかし、近年では、多くの車種にヘルメットを収納できるメットイン機能が搭載されるようになっています。メットインとは、オートバイに設けられた、主にヘルメットを収納するための収納スペース、およびその機能を指します。

メットイン機能の黎明期

従来のオートバイ、特にスクーターにおいては、収納スペースはレッグシールド後部の小さなラックやグローブボックス程度が一般的でした。しかし、1980年代後半から状況は一変します。ライダーの利便性向上のため、ヘルメットを収納できる容量のスペースを持つモデルが登場し始めたのです。

その先駆けとなったのが、1985年にヤマハから発売されたボクスンです。このモデルは、座席下にフルフェイスヘルメットを収納できるトランクを備えており、メットイン機能の先駆けとして注目されました。しかし「メットイン」という名称が広く使われるようになったのは、1987年にホンダが発売したタクトフルマークからです。ホンダはこの名称を商標登録しており、以降、メットインは多くのオートバイ、特にスクーターに標準装備されるようになりました。

メットインの普及と進化

現在では、スクーターの多くにメットインが搭載されています。特に排気量250cc以上のスクーターでは、2つのフルフェイスヘルメットを収納できる容量のトランクを持つモデルも珍しくありません。この広大な収納スペースは、ライダーの利便性を大きく向上させています。

しかし、メットイン機能はスクーターのみに留まりません。1990年にはスズキからアクロス（250cc）、1991年にはホンダからNS-1（50cc）など、従来のバイクデザインとは異なる斬新なデザインを採用したモデルが発売されました。これらのモデルでは、ガソリンタンクをタンデムシート下などに移動し、その位置にヘルメットを収納できるトランクを配置することで、メットイン機能を実現しています。

さらに近年では、大型バイクにもメットイン機能が搭載されるようになってきました。例えば、アプリリアのMANA850（2006年発売）、ホンダのインテグラ（2011年発売）、NC700X/S（2011年発売）などは、その代表的な例です。また、ホンダのゴールドウイングシリーズの中には、複数のフルフェイスヘルメットを収納できる大容量のメットインを備えたモデルもあります。

メットイン機能の利便性

メットイン機能は、単にヘルメットを収納するだけでなく、グローブやレインウェア、メンテナンス用品など、様々なアイテムの収納に役立ちます。これにより、ライダーはより快適で安全な走行を楽しむことができます。また、盗難防止の観点からも、メットインにヘルメットを収納しておくことは有効な対策となります。

まとめ

メットイン機能は、オートバイの収納スペースの進化において重要な役割を果たしてきました。その利便性から、近年では様々な車種に搭載されるようになり、ライダーの生活に欠かせない機能となっています。今後も、より使いやすく、収納容量の大きいメットイン機能が開発されていくことが期待されます。

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