メトロポリタン銀行

メトロポリタン銀行

メトロポリタン銀行（Metropolitan Bank and Trust Company）は、1962年に設立されたフィリピンの大手商業銀行かつ投資銀行であり、同国を代表するユニバーサル・バンクとしての地位を確立しています。本店はフィリピンの金融・商業の中心地であるマニラ首都圏のマカティ市にあります。

企業概要と財務状況

本銀行は、幅広い事業分野を包含する巨大なコングロマリットである「メトロバンク・グループ」の中核を担っています。グループの持株会社はGT Capital Holdings Inc.です。2017年12月末時点では、総資産は約4兆円、当期純利益は約420億円を計上しました。また、2018年5月時点での株式時価総額は約6,400億円に達しており、これは日本の有力な地方銀行にも匹敵する規模です。フィリピン総合指数（PSEi）の構成銘柄の一つとしても知られています。

メトロバンク・グループの事業多角性

メトロポリタン銀行を中心とするメトロバンク・グループは、伝統的な商業銀行業務や投資銀行業務に加え、多岐にわたる事業を展開しています。これには、設備リース、保険、自動車の製造・販売、不動産開発、ホテル運営、インフラ整備、クレジットカードサービスを含む各種消費者金融などが含まれます。さらに、病院や看護学校といった医療・教育分野にまでその事業領域は広がっており、文字通りのコングロマリットを形成しています。

日本企業との連携

メトロバンク・グループは、多くの主要な日本企業と協力関係を築いています。特に、トヨタ自動車、トヨタファイナンシャルサービス、オリックス、三井物産、住友商事、森ビルといった企業との間で合弁事業を展開しています。中でも注目すべきは、トヨタ自動車および三井物産との3社による合弁事業「トヨタモータ・フィリピン」です。この合弁会社にはメトロバンク・グループが51%を出資しており、フィリピンにおける自動車産業における影響力の大きさがうかがえます。また、三越伊勢丹および野村不動産との協力により、マニラ中心部での大規模な不動産開発事業も進行中です。これにはデパートやコンドミニアムの建設が含まれます。

銀行業務とネットワーク

フィリピン国内において、メトロポリタン銀行は953の支店と2,300台以上のATMを擁し、全国津々浦々をカバーする広範なネットワークを構築しています。そのサービスは法人・個人の双方を対象とした総合金融サービスです。銀行名に「メトロポリタン（大都市）」を冠していますが、フィリピン国内の銀行としては珍しく、都市部だけでなく地方にもバランス良く支店が分散している点が特徴です。海外にも積極的に展開しており、日本をはじめ、台湾、中国、香港、韓国、シンガポール、アメリカ、カナダ、英国などに支店や現地法人を設立しています。

メトロポリタン銀行の際立った強みの一つは、潤沢な米ドル資金です。これは、米国や中東など海外で働くフィリピン人からの母国への送金や米ドル建て預金を多く取り扱っていることに起因します。

日本における活動

日本の東京と大阪に設置された支店では、主に大手日本企業を対象とした米ドル建て融資に注力しています。また、法人・個人を問わず、フィリピンへの送金サービスも重要な業務としています。国際協力銀行や日本政策金融公庫、さらには日本の地方金融機関を含む65行（庫）との間で提携関係を結んでおり、これらの提携先と協力して、日本企業がフィリピンへ進出する際の多様なサポートサービスを提供しています。

その他

メトロポリタン銀行の創業者であるジョージ・ティ氏は、長年にわたる功績が認められ、2017年11月に日本政府より旭日重光章を受章しています。

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