メニエール病

メニエール病について

概要

メニエール病（Ménière's disease）は、フランスの医師プロスペル・メニエールにちなんで名付けられた内耳の疾患で、主に回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感の4つの症状が現れます。1861年にメニエールが内耳に関する発見をし、それが病名の由来となっています。

疫学

日本においては、メニエール病は特に女性に多く見られ、発症年齢のピークは30代後半から40代前半にかけてです。有病率はおおよそ人口10万人あたり15から18人程度とされていますが、近年ではこの数値は30から50人に増加したとの報告もあります。

主な症状

メニエール病の発作時には、患者は以下の4つの主症状を経験します：
1. 激しい回転性のめまい - 突発的で長時間続くことがあります。
2. 難聴 - 特に低音域の音が聞こえにくくなります。
3. 耳鳴り - 鳴る音の感じ方は人によって異なります。
4. 耳閉感 - 耳が詰まった感覚を伴います。

これらの症状は同時に起こり、発作が収まった後もしばしば再発します。再発時には吐き気や嘔吐、顔面の蒼白、温度の異常感（寒気や暑さ）などの付随症状が見られることもあります。

病態・原因

メニエール病の基本的な要因は「内リンパ水腫」とされています。内リンパ水腫は内耳のリンパ液が異常に溜まり、圧力が上昇することで、めまいや聴覚障害が引き起こされます。この病態の明確な原因は不明とされていますが、ストレスとの関連が指摘されています。

診断基準

日本めまい平衡医学会によると、メニエール病と診断するためには以下の3つの基準を満たす必要があります：
1. 数十分から数時間の回転性めまいが反復すること。
2. 耳鳴りや難聴、耳閉塞感がめまいに伴って変化すること。
3. 他の疾患を除外できること。

鑑別診断

メニエール病と症状が似ている疾患には、外リンパ瘻、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などがあります。これらの疾患と適切に鑑別する必要があります。

診療科・検査

耳鼻咽喉科が適切な診療科であり、聴力検査や内リンパ水腫の評価のためグリセロールテストや眼振検査が実施されます。確定診断には複数の検査を必要とします。

治療法

治療は主に薬物療法が中心で、利尿剤や内耳の血流改善薬、ステロイド剤が使われます。また、急性期には点滴での治療が行われることも多いです。治療の早期介入が重要として重症例には手術が適用されることもあります。

生活指導と予後

減塩療法や有酸素運動などの生活習慣の改善が推奨されます。メニエール病は命に関わる病気ではないものの、進行すると常に難聴や平衡感覚の乱れが残る可能性があり、早期の対応が求められます。

結論

メニエール病は、発作を繰り返すことで日常生活に大きな影響を与える内耳の疾患です。自己診断せず、専門医による正確な診療と必要な治療が重要です。

もう一度検索