メランコリア (Melancholia)
『メランコリア』は、
ラース・フォン・トリアーが監督・脚本を務めた
デンマークの映画で、
キルスティン・ダンストや
シャルロット・ゲンズブール、
キーファー・サザーランドといった豪華なキャストが揃っています。この作品は、深い内面的な葛藤や人生の終焉をテーマにした心理ドラマで、観る者に強烈な印象を残します。
あらすじ
物語は、大手広告代理店で
コピーライターとして働くジャスティンから始まります。彼女は卓越した才能を持ちながらも、精神的に不安定で周囲と適応できない女性です。この状態にもかかわらず、彼女は同僚のマイケルとの結婚を受け入れ、豪華な披露宴が執り行われることになります。しかし、彼女の結婚式はトラブル続きです。ジャスティンは、式の開始に遅れるだけでなく、ケーキカットの際には浴室から出てこないという奇行を見せます。
披露宴の最中、彼女はドレス姿のまま飛び出し、他の男性と関係を持ってしまい、最終的には会社をクビにされてしまいます。これにより、結婚は破綻し、マイケルは居なくなりますが、ジャスティンは屋敷に留まり続けます。そんな中、地球には「メランコリア」と呼ばれる惑星が接近していることが報じられ、家族はその影響を感じ始めます。
メランコリアが接近すると、ジャスティンの精神状態は徐々に落ち着いていき、彼女は地球とその生命が存続する意義に疑問を持ち始めます。彼女は、他の生命体が存在しない限り、地球が消滅しても構わないと口にします。一方、姉のクレアは、メランコリアが自身の生活に与える影響に敏感になり、夫のジョンは、将来の危機に備え食料を密かに準備します。
最接近の夜、ジャスティンはメランコリアの偉大な姿を見上げ、世界の終焉を静かに受け入れます。その一方で、ジョンは自殺してしまいます。クレアは幼い息子を連れて逃げようとしますが、行き先が見つからず、結局屋敷に戻ることになります。それからは、ジャスティンとクレア、そして甥のレオの三人で共に最後の瞬間を迎えることになります。子供に「魔法のシェルター」を作る姿は、彼女たちが抱える恐怖と孤独を象徴しています。
キャスト
ジャスティン役には
キルスティン・ダンスト、彼女の姉クレア役には
シャルロット・ゲンズブールが演じます。マイケル役には
アレクサンダー・スカルスガルドが配役され、その他にも多彩なキャストが登場します。特に、ジャスティンの母や父役俳優たちとの相互作用が物語の深みを増しています。
制作背景
この映画は、監督のフォン・トリアーがうつ病に苦しんでいた時期の体験に基づいており、精神的な葛藤を表現する手法が特徴的です。映画製作の際には多様な資金が集まり、様々な国の映画会社が協力しました。撮影は
スウェーデンで行われ、質の高い映像が作られました。
音楽
映画のテーマ曲にはワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が使用され、物語の情緒を高めています。音楽はこの作品において非常に重要な要素となっており、編集の過程でも音楽との調和を重視した結果、独特の雰囲気を生み出しています。
公開と評価
『メランコリア』は2011年に
カンヌ国際映画祭で初公開され、その後多くの国で上映されました。映画の内容やトリアー監督の発言が物議を醸し出しましたが、主演の
キルスティン・ダンストは女優賞を受賞しています。この作品は、人生の悲しみや終末感を描く深遠な作品として、今なお多くの人々に記憶されています。