メリリー・ウィー・ロール・アロング

ミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』：夢と挫折、そして失われた絆

1950年代のニューヨーク、華やかなブロードウェイを舞台に、若者たちの夢と挫折、そしてかけがえのない友情の物語が展開するミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』。この作品は、ジョージ・S・カウフマンとモス・ハートによる1934年の同名戯曲を原作としています。

物語は、ショービジネスの世界で成功を夢見る若者たちの姿を描きます。彼らは華やかな舞台の裏側で、友情を育み、夢に向かって突き進みます。しかし、時の流れとともに、彼らの関係は変化し、成功と挫折を繰り返す中で、次第に絆は薄れていきます。この作品最大の特徴は、物語が“逆再生”で進行するという点です。終盤から始まり、過去へと遡る構成によって、時間の経過とともに変化する彼らの関係性を鮮やかに表現しています。観客は、彼らがどのように成功を収め、そして失っていくのかを、時間の流れに逆らって追体験することになります。

日本公演の歴史

日本でも何度か上演され、高い人気を博しています。2013年には『メリリー・ウィー・ロール・アロング 〜それでも僕らは前へ進む〜』と題し、宮本亞門氏演出、小池徹平さん、柿澤勇人さんら豪華キャストで上演されました。東京・天王洲 銀河劇場、大阪・シアター・ドラマシティでの公演は大盛況のうちに幕を閉じました。

その後、2021年には『メリリー・ウィー・ロール・アロング～あの頃の僕たち～』として再演。演出はマリア・フリードマン氏、振付はティム・ジャクソン氏と、海外の著名なスタッフが参加し、平方元基さん、ウエンツ瑛士さんら実力派俳優がキャストに名を連ねました。東京・新国立劇場 中劇場、名古屋・愛知県芸術劇場大ホール、大阪・梅田芸術劇場メインホールと、全国各地で公演されました。

それぞれの公演で、個性的な演出、豪華なキャスト、そして緻密に練られた脚本により、高い評価を得ています。観客は、登場人物の複雑な感情や、時代の流れに翻弄される彼らの姿を、深く心に刻むことでしょう。

映画化

さらに、このミュージカルは映画化も決定しています。リチャード・リンクレイター監督が、20年以上の歳月をかけて撮影を行うという、前代未聞の大プロジェクトです。独特な撮影手法で知られる同監督は、本作でも、登場人物が実際の人生を重ねるように、長期間にわたって撮影を進めます。『6才のボクが、大人になるまで。』で用いた手法と同様に、時間と年齢を重ねていく登場人物の姿をリアルに捉えることで、物語に深みを与えることが期待されています。ベン・プラット、ポール・メスカル、ビーニー・フェルドスタインといった実力派俳優が出演を決定しており、注目が集まっています。

まとめ

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』は、ショービジネスという華やかな世界の裏側で、友情と挫折、そして人生の移ろいを見事に描いた、他に類を見ないミュージカルです。時間軸を逆転させたユニークな構成、豪華なキャスト、そして重厚なテーマは、多くの人々の心を捉え、感動を与え続けています。舞台、そして映画という形で、この作品がこれからも多くの人々に愛され続けることは間違いありません。

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