メルセデス・ベンツ・ゼトロス

メルセデス・ベンツ ゼトロス：不整地を制覇するオフロードトラック

メルセデス・ベンツ ゼトロスは、ドイツの自動車メーカーであるダイムラー・トラックが、メルセデス・ベンツブランドで製造・販売しているオフロードトラックです。その卓越した走破性から、軍用車両としてだけでなく、災害救助や物資輸送など、民間でも不整地での活動を必要とする場面で活躍しています。

開発と導入

ゼトロスは、2008年6月にフランス・パリで開催された防衛機器展示会「ユーロサトリ」で初めて公開されました。翌2009年にはブルガリア陸軍が導入を開始し、その後2012年にはドイツ陸軍も採用を決定しました。生産は、ドイツのヴェルト・アム・マインにあるメルセデス・ベンツのトラック工場で行われています。

車両の特長

ゼトロスには、4輪駆動の「ゼトロス1833」と6輪駆動の「ゼトロス2733」の2つのモデルがあります。初期モデルには、326馬力の7.2リットルディーゼルエンジンOM926LAが搭載されていましたが、後に476馬力の12.8リットルディーゼルエンジンOM460に強化されました。

キャビン前方にエンジンを配置するボンネットトラックのデザインは、全高を抑え、C-130などの戦術輸送機や貨物列車での輸送を可能にしています。また、整備性の向上や安定性の確保、地雷による乗員の被害軽減にも貢献しています。さらに、キャビン側面にはシュノーケルが装備されており、水深1.2mまでの渡河能力を備えています。

2012年時点での車両価格は、約1000万円（80,000ポンド）からとされています。

東日本大震災での活躍

通常、日本では販売されていないゼトロスですが、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け、ダイムラー社は復興支援として8台のゼトロスを日本に空輸しました。これは、ウニモグ4台、Gクラス8台と共に、日本財団に寄贈されました。さらに、国内の三菱ふそう・キャンターも加えられ、合計50台の車両が被災地支援のために提供されました。

寄贈されたゼトロスは、1833が7台、2733が1台で、そのうち2台の1833はクレーン付き三転ダンプとして活用されました。これらの車両は、もともとヨーロッパ各地の販売店に展示されていた見本車を緊急に集め、ダイムラー本社で日本での使用に必要な最低限の改造を施した上で、急遽空輸されたものです。そのため、各車両で塗装や細部仕様が異なり、一部にはダイムラー社員からの応援メッセージが書き込まれていました。

ゼトロスは、日本では車両認証を取得していなかったため、本来は公道での走行は認められませんでしたが、迅速な支援活動のために特例として仮ナンバーが交付され、2年間の使用が許可されました。これにより、被災地での物資輸送や瓦礫処理に貢献しました。

2013年8月、被災地の道路の応急整備がほぼ完了し、ゼトロスの公道走行認可も期限切れとなったため、日本財団はキャンターを除くダイムラー寄贈車両の使用を終了しました。復興作業で使用されたゼトロス1833のうち1台は、ウニモグとGクラス各1台と共に、日本[[自動車博物館]]に寄贈され、現在も展示されています。また、三菱ふそうも一部を引き取り、後に同社主催の試乗会が開催されました。

関連情報

ウニモグ: ゼトロス以前からダイムラー社で製造されている不整地走行車両。

外部リンク

Zetros: der hochgeländegängige Off-Road Truck. - MBS World

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