メルセデス・ベンツ・AMG ビジョン グランツーリスモ

AMG Vision Gran Turismo：ゲームから現実へ飛び出した夢のスーパーカー

2013年、世界的な人気ゲーム『グランツーリスモ6』とのコラボレーションによって、ダイムラー社メルセデス・ベンツブランドからAMG Vision Gran Turismoが誕生しました。その存在は、まずFacebook上に公開されたティザーイメージによって世界に知らしめられ、瞬く間に大きな話題を呼びました。続くロサンゼルスモーターショーへの出展、そして実寸大モデルの公開と、その人気は加速の一途を辿りました。

猛獣を思わせるデザインと圧倒的なスペック

AMG Vision Gran Turismoのデザインコンセプトは「狩りをする大型ネコ科動物」。その言葉通り、300SLを彷彿とさせるロングノーズ・ショートデッキのボディは、力強さとエレガントさを兼ね備えています。ガルウィングドア、アルミとカーボンを多用した軽量ボディ（1358kg）、LEDを埋め込んだフロントグリル、CCDカメラ式サイドミラー、可動式リアウイングと、先進的な技術と美しいデザインが見事に融合しています。

心臓部にはAMG製の5.5リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。585PSの最高出力と81.6kgmの最大トルクを発生させ、2.4kg/PSという驚異的なパワーウェイトレシオを実現しました。7速デュアルクラッチトランスミッション、前後ダブルウィッシュボーン式サスペンション、電子ディファレンシャルロック機構と、走りのための技術も惜しみなく投入されています。リアには8本のテールパイプからなるマフラーが備わり、ブレーキランプと一体化されたデザインとなっています。さらに、エンジンのサウンドはデザインチームによって「調律」され、官能的なサウンドを実現しています。

レースへの挑戦：AMG Vision Gran Turismo レーシングシリーズ

2014年には、レーシングモデルである『メルセデス・ベンツ・AMG ビジョン グランツーリスモ レーシングシリーズ』が登場しました。オリジナルモデルをベースに、レース参戦を想定した様々な改良が施されています。可動式だったリアウイングは固定式に、CCDカメラ式ドアミラーは従来のミラーに変更。リアブレーキランプは、点灯時にグランツーリスモのロゴが浮かび上がるようにデザインされています。エンジン出力は600馬力に向上、7速デュアルクラッチトランスミッションは伝達効率を高めたドグリンク式シーケンシャルミッションへと換装されました。ボディは1300kgまで軽量化され、車高を下げることで低重心化も実現しています。

現実世界への橋渡し：レプリカモデル

富裕層向けの商品販売で知られるJames Edition社は、AMG Vision Gran Turismoのレプリカモデルを5台限定で販売しました。ベース車両は2014年型のメルセデス・ベンツSLS AMG GT。カーボン製のボディパネルにクローム塗装を施し、鍛造ホイール、格納式リアウイング、カスタムエキゾーストシステムなどを装備しています。インテリアは顧客のオーダーメイドで、価格は1台150万ドル（約1億5000万円）という超高級車でした。発表段階ですでに1台は契約済みで、完売したと推測されています。

映画への出演：ジャスティス・リーグ

2017年公開の映画『ジャスティス・リーグ』では、主人公ブルース・ウェイン（バットマン）の愛車としてAMG Vision Gran Turismoが登場。映画撮影のために新たに制作されたインテリアが採用され、俳優ベン・アフレックの体格に合わせて、オリジナルより10％ほど車体が拡大されました。

まとめ

AMG Vision Gran Turismoは、ゲームとのコラボレーションから生まれたコンセプトカーとして、その存在意義を超えた成功を収めました。その革新的なデザイン、圧倒的な性能、そして現実世界への橋渡しは、自動車史に新たな一ページを刻んだと言えるでしょう。ゲームと現実世界の融合がもたらした、真の夢のスーパーカーです。

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