メルセデス・ベンツ・C140

メルセデス・ベンツ C140：初代CLクラスの優雅さと革新性

メルセデス・ベンツ C140は、ダイムラー・ベンツが1992年から1998年にかけて製造した、初代CLクラスに属するラグジュアリークーペです。その優雅なデザインと先進的な技術は、高級車市場に大きなインパクトを与えました。コードネーム「C140」で知られるこのモデルは、Sクラス（W140）をベースに開発され、そのDNAを受け継ぎつつ、クーペならではの洗練されたスタイルを追求しています。

1992年1月、デトロイトモーターショーで「SEC」としてデビュー。当初はV型12気筒エンジンを搭載した600SECが主力でした。日本市場では1993年5月に600SECが導入され、その圧倒的な動力性能と高級感で注目を集めました。同年6月には名称が「S600クーペ」に変更され、V型8気筒エンジン搭載のS500クーペ（右ハンドルのみ）も追加されました。

1994年にはマイナーチェンジを実施。バンパーやサイドパネルのデザインが変更され、より力強い印象となりました。フロントウインカーレンズもアンバーからホワイトに変更され、アルミホイールのデザインも刷新されました。これらの変更により、C140はより洗練された外観を獲得しました。

1996年には、新たなCLクラスへの移行に伴い、車名が「CL500」「CL600」へと変更されました。モデル呼称はC140のままですが、このモデルイヤーから、2つの画期的な技術が導入されました。1つは電子制御5速ATで、従来のオートマチックトランスミッションに比べて部品点数が40％削減され、製造コストと燃料消費量の低減に貢献しました。そしてもう1つは、エレクトリック・スタビリティ・プログラム（ESP）です。ESPは、危険な状況下でブレーキ制御や回転モーメント制御を行うことで、ドライバーの安全をサポートする先進的なシステムでした。

外見面では、バンパーのデザイン変更に加え、パークトロニック（駐車支援システム）が装備されました。さらに、キセノンヘッドライトや助手席用SRSサイドエアバッグなど、安全装備も充実しました。

1998年、生産終了間近にはCL600にチェストナットのウッドパネルをオプション設定するなど、最後のモデルイヤーも更なる魅力の向上を図りました。生産期間中には約26,000台が製造され、そのエレガントなデザインと優れた走行性能、そして先進技術により、多くのファンを魅了しました。後継モデルであるC215型CLクラスへとバトンタッチするまで、メルセデス・ベンツの高級クーペの頂点として君臨し続けました。C140は、今日のメルセデス・ベンツの伝統と革新性を象徴するモデルの一つと言えるでしょう。

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