メルセデス・ベンツ・C216

メルセデス・ベンツ C216型 CLクラス：ラグジュアリークーペの進化

メルセデス・ベンツ C216型 CLクラスは、ダイムラー社が2006年11月に発売した、3代目CLクラスに位置付けられる高級クーペです。先代モデル（C215型）の後継として登場し、メルセデス・ベンツ Sクラス（W221型）のプラットフォームをベースに開発されました。

デザインとボディサイズ

C215型と比較して、C216型はボディサイズが拡大しました。全長は75mm、全幅は15mm、全高は20mm大きくなり、より堂々とした風格を手に入れました。このサイズアップは、室内空間の広さと快適性の向上に大きく貢献しています。価格は1630万円から3020万円と、高級車らしい価格帯に設定されました。


充実の安全・快適装備

C216型 CLクラスは、先進の安全技術と快適装備を惜しみなく搭載しています。標準装備として、レーダーを用いて前方や側方の障害物を検知し、衝突回避を支援するレーダーセーフティパッケージ、夜間の視界を向上させるナイトビューアシスト、状況に応じて最適な光量を制御するインテリジェントライトシステムなどが備えられていました。また、車両の設定や各種機能を操作できるCOMMANDシステムも標準装備となり、ドライバーの利便性を高めています。さらに、サスペンションをアクティブに制御するアクティブ・ボディー・コントロール（ABC）も標準装備され、快適な乗り心地を実現しています。電子制御7速AT（7G-TRONIC）や、直感的な操作が可能なダイレクトセレクトも搭載されています。

オプション装備としては、ダイヤモンドホワイトのボディカラー、アルカンターラルーフライナー付きフルレザー仕様、AMGスポーツパッケージ、AMGカーボンエクステリア/インテリアパッケージなどが用意され、個々の好みに合わせたカスタマイズが可能です。


日本市場における展開と歴史

日本市場では、2006年11月に「CL 550」と「CL 600」が発売されました。「CL 550」は左ハンドル仕様と右ハンドル仕様が用意された一方、「CL 600」は左ハンドル仕様のみの設定でした。同時に、「CL 550」をベースにした限定車「CL 550 デジーノ AMG エディション」も発売され、大きな注目を集めました。その後、2007年にはAMGモデルの「CL 63 AMG」と「CL 65 AMG」が追加されました。

2010年11月にはマイナーチェンジを実施。エクステリアデザインが変更され、「CL 550」と「CL 63 AMG」には新開発エンジンが搭載されました。「CL 600」と「CL 65 AMG」のエンジンも改良されています。この際に「CL 550」は「CL 550 ブルーエフィシェンシー」と名称変更されています。2011年には「CL 550 ブルーエフィシェンシー」にアイドリングストップ機能が追加され、燃費性能が向上しました。2012年にはレーダーセーフティパッケージが全車標準装備となり、さらに安全性が強化されています。同年には、内外装を特別にカスタマイズした限定車「CL 550 ブルーエフィシェンシー Grand Edition」が20台限定で発売されました。


エンジンとテクニカルデータ

C216型 CLクラスには、8気筒エンジンと12気筒エンジンが搭載されました。8気筒モデルの「CL 550」と「CL 63 AMG」には7G-TRONICが組み合わされ、12気筒モデルの「CL 600」と「CL 65 AMG」には高トルク対応の5速ATが搭載されました。マイナーチェンジ後、「CL 550 ブルーエフィシェンシー」の最高出力は320kW（435PS）、「CL 63 AMG」は400kW（544PS）、「CL 65 AMG」は463kW（630PS）に達しました。


フェイスリフトとモデルネーム変更計画

2010年のパリモーターショーでは、C216型 CLクラスのフェイスリフトモデルが発表されました。フロントとリアのスポイラー、ラジエーターグリル、ヘッドライト、ボンネットフードなどが変更され、より精悍な顔つきとなりました。Sクラスと同様に、ドアミラーとテールパイプもデザイン変更されています。リアコンビランプとライセンスプレート周辺の造形も刷新されました。当初はモデルネームを「Sクラスクーペ」に変更する計画もあったようですが、最終的にはCLクラスの名称が維持されました。


日本とドイツにおけるグレード

日本市場では、「CL 550 ブルーエフィシェンシー」、「CL 600」、「CL 63 AMG」、「CL 65 AMG」が販売されました。ドイツ市場では、4MATIC（四輪駆動システム）搭載の「CL 550 4MATIC ブルーエフィシェンシー」などもラインナップされていました。


C216型 CLクラスは、そのラグジュアリーなデザインと先進の技術、そして高い走行性能によって、多くのユーザーを魅了したモデルと言えるでしょう。

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