メルセデス・ベンツ・CLクラス

メルセデス・ベンツCLクラス：ラグジュアリークーペの系譜

メルセデス・ベンツCLクラスは、ダイムラー社が1996年から2014年まで製造販売していた、フラッグシップクーペとして名高い高級車です。Sクラスをベースとしながらも、独立したモデルとして開発され、その存在感はブランドイメージを大きく左右しました。

Sクラスからの独立と独自性

元々はSクラスのクーペモデルとして「SEC」の名称で存在していましたが、1994年に「S500クーペ」「S600クーペ」と名称を変更、そして1996年にCLクラスとして独立を果たします。Sクラスと共通のプラットフォームや装備を有するものの、CLクラスはよりパーソナルで高級感を強調したモデルとして開発されました。特徴的なのは、大型のスリーポインテッドスターが配されたフロントグリルです。これは、Sクラスとは明確に差別化されたデザインとして、CLクラスのアイデンティティを確立する上で重要な役割を果たしました。搭載エンジンも、Sクラスの上位モデルに搭載される高性能エンジンが選択され、高い動力性能を誇りました。

各世代の特徴

初代（C140：1996年-1998年）

Sクラスのマイナーチェンジと同時に登場した初代CLクラスは、「CL600」（6.0L V12エンジン搭載）と「CL500」（5.0L V8エンジン搭載）の2車種が日本市場に導入されました。ヨーロッパや北米市場では「CL420」も設定されていました。

2代目（C215：1999年-2005年）

Sクラスのモデルチェンジに合わせ、1999年に登場した2代目CLクラス。日本市場では「CL600」（5.8L V12エンジン搭載）と「CL500」（5.0L V8エンジン搭載）が販売されました。「CL600」は左ハンドル仕様のみ、「CL500」は右ハンドル仕様も設定されました。環境性能にも配慮され、CL600には低負荷時にシリンダーを休止させる「シリンダー・カットオフ・システム（ZAS）」が採用され、燃費向上に貢献しました。また、アクティブボディーコントロールによる快適な乗り心地と高い走行性能の両立も実現しています。

3代目（C216：2006年-2014年）

2005年の新型Sクラス登場から約1年後に登場した3代目。コンセプトは先代を踏襲しつつ、リアデザインはCLSクラスを思わせるシルエットとなりました。「CL550」（5.5L V8エンジン搭載）と「CL600」（5.5L V12エンジン搭載）がラインナップされ、「CL550」には右・左ハンドル仕様、「CL600」は左ハンドル仕様のみが用意されました。「CL550」には7速ATが採用された一方、「CL600」は5速ATが継続されました。オプションとしてAMGスポーツパッケージも用意され、スポーティな外観を手に入れることができました。車体の大きさは、日本の一般的なタワーパーキングへの駐車が困難なほどでした。最高速度は、いずれのモデルも250km/hにリミッターが設定されていました。

Sクラスクーペへの統合

2014年、メルセデス・ベンツはSクラスクーペを発表。それにより、18年に渡る歴史を刻んだCLクラスはSクラスに統合されることになりました。CLクラスは、そのラグジュアリーさと高いパフォーマンスで、多くの自動車ファンを魅了したモデルとして記憶されています。

まとめ

メルセデス・ベンツCLクラスは、Sクラスをベースとしながらも、独自の高級感とスポーティさを兼ね備えた、フラッグシップクーペとして高い評価を受けました。各世代で進化を遂げながら、メルセデス・ベンツのブランドイメージを大きく支え、その存在感は、今日においても多くのファンに記憶されています。

もう一度検索