メル・ファーラー

メル・ファーラー - 生涯とキャリア

メル・ファーラー（本名：Melchor Gaston Ferrer、1917年8月25日 - 2008年6月2日）は、アメリカ合衆国出身の俳優、映画監督、プロデューサーであり、広範な芸術的才能を持つことで知られています。ニュージャージー州エルベロンで生まれ、スペイン系のキューバ人医師の父とアメリカ人の母の間に育ちました。彼は早くから演劇への情熱を示し、プリンストン大学在学中には夏季にマサチューセッツ州のケイプ・コッド・プレイハウスで演技に参加しました。

初期のキャリア

大学卒業後、ファーラーは一時出版社に勤務しましたが、自身の演技の夢を追求するためにブロードウェイへと進出しました。彼は様々な舞台に出演し、地方のラジオ局でDJとしての経験を積んだ後、NBCのプロデューサー兼ディレクターに就任しました。1945年に映画業界に足を踏み入れ、コロムビア社と契約し、ダイアログ・ディレクターとして活動しました。俳優としても映画に登場し、その後再びブロードウェイに戻りました。

映画監督としての活躍

ファーラーは1950年に『狙われた結婚』で監督デビューし、その後は様々な映画でその才能を発揮しました。特に1960年代には、ヨーロッパの低予算映画に出演する機会が多くなりましたが、その中でもシリアスな役柄からコミカルな役まで多彩な演技を見せていました。

私生活

ファーラーの私生活は多くの波乱に満ちていました。彼はこれまでに5回結婚しており、最初は1937年に小説家のフランセス・ピルチャードと結婚し、一男をもうけましたが、その後離婚。1940年には彫刻家のバーバラ・C・トリップスと再婚し、2男1女を授かりましたが、これもまた離婚に至ります。1942年に再びフランセス・ピルチャードと結婚しましたが、最終的にはオードリー・ヘプバーンとの関係が特に有名で、1954年にブロードウェイの舞台『オンディーヌ』で共演後に結婚しました。彼らは1956年の『戦争と平和』や、ファーラーの監督作品である1959年の『緑の館』、1967年の『暗くなるまで待って』などで共演を果たしました。しかし、1960年代後半には別居し、翌年には離婚が成立しました。この離婚の原因の一つはファーラーの派手な女性関係であるとも言われています。

1971年にエリザベス・スコーティンと再婚した後、1980年代後半以降は公に姿を見せることが少なくなりました。彼の元妻であるヘプバーンが1993年に亡くなった際には、葬儀に出席していますが、それ以降は芸能界から少しずつ距離を置くようになりました。1998年まで公式に活動を続けていましたが、その後は姿を見せることはほとんどありませんでした。

死去

2008年にカリフォルニア州サンタバーバラ郊外で亡くなり、その死因は公表されていません。彼は最後の半年間、療養所と自宅との往復生活を送っていたと言われています。メル・ファーラーは多様な才能を持つ芸術家として、今なお多くの人々に記憶されています。

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