モエレ沼公園

モエレ沼公園：芸術と自然が融合した札幌のオアシス

札幌市東区に広がるモエレ沼公園は、単なる公園の枠を超えた、自然と芸術が一体となった独特の空間です。その歴史は、1978年、危機的な状況にあったモエレ沼の保全を目的とした大規模な水郷公園事業に遡ります。当初は一般的な公園構想でしたが、彫刻家イサム・ノグチ氏との出会いが、公園の運命を大きく変えました。

1988年、ノグチ氏は札幌市から公園設計への協力を依頼され、ごみ処理場跡地という特殊な立地に対し、「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事です。」とコメント。彼の芸術的感性が、この公園に息吹を吹き込みました。ノグチ氏のデザインコンセプトは「全体をひとつの彫刻作品とする」こと。幾何学的な形状の建造物やランドスケープが、広大な敷地の中に有機的に配置され、独特の景観を作り出しています。

しかし、公園建設はノグチ氏の急逝という悲劇に見舞われます。それでも、残されたマスタープランと関係者らの尽力により、1989年から本格的な造成工事が開始。1998年には部分開園、そして2005年、ガラスのピラミッド「HIDAMARI」やモエレ山などの主要施設が完成し、グランドオープンを迎えました。

公園の象徴：ガラスのピラミッド「HIDAMARI」

公園のシンボルであるガラスのピラミッド「HIDAMARI」は、高さ32.3m、ガラス面積2,483㎡を誇る壮大な建造物です。レストランやギャラリー、ショップ、管理事務所などが併設されており、公園の文化活動拠点としての役割も担っています。また、環境への配慮から、貯雪庫に蓄えた雪を利用した冷房システムを採用するなど、先進的な技術も導入されています。

多様な施設と自然空間

モエレ沼公園には、ガラスのピラミッド以外にも魅力的な施設が数多く存在します。

海の噴水: 公園中央に位置する噴水は、荒々しい波しぶきを再現したダイナミックな演出が特徴です。
サクラの森: 約2,600本の桜が咲き誇る森には、ノグチ設計の遊具が配置され、美しい景観と遊び心を両立しています。
モエレビーチ: 海辺をイメージした水遊び場では、子供たちが安心して水遊びを楽しむことができます。
プレイマウンテン: ノグチ氏の遊び山構想を実現した、高さ30mのピラミッド型遊具です。
モエレ山: 公園内最高峰の山は、ごみと残土を再利用して造成され、山頂からは札幌市街を一望できます。冬にはスキーやソリを楽しむことも可能です。
テトラマウンド: ステンレス鋼の円柱を三角に組み合わせた、光を反射して美しく輝くモニュメントです。
ミュージックシェル: コンサートやイベントに利用される、白い半球形の舞台です。
アクアプラザ＆カナール: 水と石の広場と運河が一体となった、涼しげな空間です。
野外ステージ: 広大な敷地面積を誇り、様々なイベントに対応できる多目的スペースです。
スポーツ施設: テニスコート、野球場、陸上競技場など、充実したスポーツ施設も備えています。

環境への配慮

モエレ沼公園は、ごみ処理場跡地を再生した公園であるだけでなく、再生可能エネルギーの利用や水循環システムの導入など、環境への配慮も徹底されています。洪水対策として、モエレ沼を一時的な雨水貯留池として活用するなど、自然と共存する公園づくりが実践されています。

アクセス

公共交通機関や自家用車でのアクセスも良好です。北海道中央バス、札幌丘珠空港、札幌市中心部からそれぞれアクセス可能です。

受賞歴

モエレ沼公園は、そのデザイン性と環境への配慮から、数々の賞を受賞しています。都市公園コンクール建設大臣賞、グッドデザイン大賞、土木学会デザイン賞など、高い評価を受けていることが、この公園の魅力を物語っています。

モエレ沼公園は、芸術と自然が融合した、札幌の代表的な観光スポットとして、多くの人々に感動とやすらぎを与え続けています。

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