モクズガニ属

モクズガニ属について

モクズガニ属（学名：Eriocheir）は、エビ目に分類されるカニのグループです。この属には、日本で広く食用されているモクズガニや、特に人気のある「上海蟹」（チュウゴクモクズガニ）が含まれます。三重県の一部地域では、通称「ずがに」とも呼ばれています。

分布と生態

モクズガニ属のカニは、中国や朝鮮半島、日本、台湾を中心とした東アジアが原産地です。特にチュウゴクモクズガニは、侵略的外来種として知られ、世界の侵略的外来種ワースト100に選定されています。このカニは、20世紀初頭にドイツで発見され、以来、フィンランドやノルウェー、ロシアなど、幅広く分布を広げてきました。在来の淡水性カニを駆逐する存在となっています。

アメリカ合衆国では、この種の商取引が完全に禁止されており、その拡散を防ぐ努力がなされています。これは、モクズガニが他の水系に陸上を移動することで侵入する能力に起因しています。日本では、モクズガニを除く外来のモクズガニ属は特定外来生物として指定されており、飼育や活きたままの輸送、保管が禁止されています。

生態と繁殖

モクズガニは淡水に生息し、主に川の底で生活しています。幼生は海水で育つため、親カニは繁殖のために河口や海岸へ移動する必要があります。特に秋に、雄と雌が河口で交尾し、雌は海水域で産卵します。雌の腹部は俵型で、雄は三角形をしています。この生態は、生息環境の変化に適応するためのものと考えられます。

既知の種

モクズガニ属には、以下の4つの種が知られています：

• - Eriocheir hepuensis - 広西チワン族自治区合浦県周辺に分布。
• - Eriocheir japonica - 日本で見られるモクズガニ。
• - Eriocheir ogasawaraensis - 小笠原諸島に生息。
• - Eriocheir sinensis - 主に中国に分布。

さらに、かつてモクズガニ属とされていた種として、以下の2つが現在は別属とされています：

• - Platyeriocheir formosa - 台湾固有のミナミモクズガニ。
• - Neoeriocheir leptognathus - 福岡県などに見られるヒメモクズガニ。

まとめ

モクズガニ属は、その食文化への寄与とともに、環境における影響も多くの議論を呼んでいます。特に、外来種としての適応と生態系への影響について、さらなる研究が求められています。私たちの身の回りにあるこのカニに対する理解を深めることは、持続可能な生態系を維持するために重要です。

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