モダン・ジャズ

モダン・ジャズは、1940年代後半にビバップが誕生したことに端を発し、1960年代後半にマイルス・デイヴィスらによってエレクトリック・ジャズが創出されるまでの期間に隆盛を極めた、即興演奏を中核とするジャズの総称です。この時代区分は、ジャズの歴史において大きな転換点であり、それ以前の「アーリー・ジャズ」や「クラシック・ジャズ」などと呼ばれるスタイルとは明確に区別されます。

モダン・ジャズは、単一のスタイルではなく、多様なサブジャンルを含んでいます。代表的なものとして、以下のようなスタイルが挙げられます。

ビバップ: 1940年代にチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらによって創始された、複雑なハーモニーや速いテンポ、高度な即興演奏を特徴とするスタイルです。スウィング・ジャズから発展し、モダン・ジャズの基礎となりました。
クール・ジャズ: 1950年代に登場した、ビバップの熱狂的な側面を抑え、より穏やかで洗練されたサウンドを追求したスタイルです。マイルス・デイヴィスやレスター・ヤングなどが代表的なミュージシャンです。
ウエストコースト・ジャズ: クール・ジャズとほぼ同時期に、アメリカ西海岸で発展したスタイルで、クール・ジャズと同様に落ち着いた雰囲気を持つ一方、よりアンサンブルを重視する傾向があります。
ハード・バップ: 1950年代後半に登場した、ビバップをより力強く、ブルースやゴスペルの影響を取り入れたスタイルです。アート・ブレイキー＆ザ・ジャズ・メッセンジャーズなどが代表的です。
ファンキー・ジャズ: ハード・バップの一種で、ゴスペルやR&Bの要素を強く取り入れた、よりグルーヴィーで親しみやすいサウンドが特徴です。ホレス・シルヴァーなどが代表的です。
ソウル・ジャズ: ファンキー・ジャズと同様に、R&Bやソウルの影響を受けたスタイルで、よりメロディアスで感情豊かな演奏が特徴です。
モード・ジャズ: 1950年代後半にマイルス・デイヴィスによって創始された、従来のコード進行に代わって、モード（旋法）を基盤とした即興演奏を特徴とするスタイルです。ハーモニーの制約から解放され、自由な表現を可能にしました。新主流派と呼ばれるスタイルもこの流れに含まれます。

モダン・ジャズは、ジャズの歴史において、即興演奏の探求、ハーモニーやリズムの革新、そして多様なスタイルが生まれた重要な時代でした。また、この時代のジャズは、その後の音楽シーンに大きな影響を与え、今日でも多くのミュージシャンや音楽ファンに愛されています。

日本では「モダン・ジャズ」という用語が広く使われますが、アメリカでは、戦後から1950年代、1960年代にかけてのジャズを「ビバップ」と呼ぶことが一般的です。この背景には、ビバップがモダン・ジャズの基礎であり、最も重要なスタイルと認識されていることが挙げられます。

関連項目

ジャズ
* スウィング・ジャズ

参考文献

(参考文献は必要に応じて追加してください。)

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