モッツァレッラ

モッツァレラ：イタリアを代表するフレッシュチーズ

モッツァレラは、イタリア南部カンパニア州を起源とするフレッシュチーズです。丸く、繊維状で弾力のある独特の食感が特徴で、加熱するととろける糸引きが楽しめます。ミルクの自然な甘みと程よい酸味が口の中に広がり、シンプルながらも奥深い味わいが魅力です。その名前は、イタリア語で「引きちぎる」を意味する「mozzare」に由来すると言われています。これは、モッツァレラの製造工程でチーズを手で引きちぎって成形する製法にちなむものです。

モッツァレラの歴史と地理的表示

モッツァレラの歴史は古く、18世紀のサレルノ地方で誕生したと言われています。現在では、その名称と伝統的な製造方法が、欧州連合の伝統的特産品保護（STG）制度によって保護されています。これは、モッツァレラの名称と伝統的な製法を守り、消費者が本物のモッツァレラを安心して購入できるようにするための制度です。STGに加え、特定の地域で生産されたモッツァレラは、原産地呼称保護（DOP）や地理的表示保護（IGP）といった、より厳しい基準を満たした認証も受けています。

モッツァレラの種類

モッツァレラは、使用する原料によって種類が分かれます。最も良質とされるのは、水牛の乳を原料とする「モッツァレッラ・ディ・ブーファラ」です。水牛の乳は、牛乳に比べて濃厚でコクがあり、独特の風味を持っています。一方、牛乳を原料とするモッツァレラは「モッツァレッラ・ディ・ヴァッカ」や「フィオル・ディ・ラッテ」と呼ばれ、水牛の乳を使ったものよりも価格が比較的安価です。水牛の乳を使ったモッツァレラのなかでも、カンパニア州の特定地域で生産されたものは「モッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナ」としてDOP認証を受けており、最高級品として扱われています。水牛の飼育は乳牛に比べて難しく、乳の生産量も少ないため、水牛の乳を使ったモッツァレラは希少価値が高く、価格も高めです。

モッツァレラの製法

モッツァレラは、「パスタフィラータ」と呼ばれる伝統的な製法で作られます。これは、凝固したカード（チーズの原料）に熱湯を加えて練り上げ、独特の弾力と粘りを出す工程です。その後、手で引きちぎって整形し、約280グラムの球状に成形されます。この工程で生まれる独特の繊維状の組織と、とろける食感がモッツァレラの最大の特徴です。

モッツァレラの食べ方

モッツァレラは、そのまますっきりとした味わいを堪能することもできますし、様々な料理にも活用できます。クセがなく、どんな料理にも合うため、パスタ、ピザ、グラタンなど、幅広い料理に用いられます。特に、トマトとバジルを合わせた「カプレーゼ」は、モッツァレラのシンプルな美味しさを堪能できる定番料理です。また、サラダや前菜などにも幅広く活用され、イタリア料理には欠かせない食材となっています。そのフレッシュでクリーミーな味わいは、様々な料理に豊かな風味と食感をもたらします。

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