モハメド・サイフラ・オザキ

モハメド・サイフラ・オザキ：学者からテロリストへの転身

モハメド・サイフラ・オザキ（出生名：サジト・チャンドラ・デブナット）は、1982年にバングラデシュで生まれ、後に日本国籍を取得した人物です。彼は経済学者としてキャリアをスタートさせましたが、最終的にはISIL（イスラム国）のテロリストとして活動するという、異例の経歴を歩みました。

学者としての経歴

オザキは、バングラデシュのヒンドゥー教家庭に生まれ、2002年に来日。日本でイスラム教に改宗し、日本人女性との結婚を経て日本国籍を取得しました。立命館アジア太平洋大学で学び、2006年にアジア太平洋マネジメント学部を卒業。その後、同大学院で国際協力政策を専攻し、修士号を取得しました。さらに、九州大学で経営学の博士課程を修了し、立命館アジア太平洋大学大学院で博士号を取得しています。

彼は、岩田学園や大分大学で非常勤講師を務めたほか、シャープ株式会社での共同研究者としての経験も持っています。2011年からは立命館大学で助教、2015年からは准教授として教鞭を執りましたが、2016年に長期無断欠勤を理由に解雇されています。

テロリストとしての活動

2017年、バングラデシュの新聞が、オザキがイスラム過激派組織『イスラム国』のバングラデシュ支部の指導者であると報道しました。報道によると、彼は2016年にISILの機関紙『ダービク』で、バングラデシュ支部指導者アブーイブラヒーム・ハニーフとしてインタビューを受けていたとされています。また、彼の指導者任命には、師匠である日本人のイスラム教徒が関与していたとも報じられています。

オザキは2015年に家族とともに日本からシリアに入り、ISILに合流しました。その後、バングラデシュ支部の指導者として、テロ攻撃のための組織作りに着手。実行メンバーのリクルートやリーダーの指名を行い、2015年9月にはダッカでイタリア人を殺害する最初の作戦を実行しました。同年10月には、バングラデシュ北西部で日本人男性が殺害された事件にも関与したとされています。

2016年7月にダッカで発生したレストラン襲撃人質テロ事件では、実行犯らを過激派に勧誘した疑いが持たれています。この事件では、日本人7人を含む22人が死亡しました。

逮捕後の状況

2019年5月、オザキはシリアからイラク北部の刑務所に移送されたと報じられました。バングラデシュ当局によると、彼はシリアにおけるISIL最後の拠点であるバーグーズで拘束されたバングラデシュ人戦闘員の一人であり、同年3月にクルド人対テロ部隊に投降したとされています。

彼の妻と子供のうち2人は空爆で死亡しましたが、生き残った3人の子供は保護され、2019年5月に日本へ帰国しました。

著作

オザキは学者として、以下の著作を発表しています。

"Developing Competitive Scientific Infrastructure for Knowledge-based Economies in Southeast Asia: A Comparative Study of Malaysia and Singapore" (2009年)
"The East Asian Knowledge-based Economies" (2014年)
"The potential of zakat scheme as an alternative of microcredit to alleviate poverty in Bangladesh" (2015年)
"Environmental Regulations Become Restriction or a Cause for Innovation – A Case Study of Toyota Prius and Nissan Leaf" (2015年)

モハメド・サイフラ・オザキの人生は、学者の道からテロリストへと大きく転換した、稀有な例と言えるでしょう。彼の行動は多くの人々に衝撃を与え、テロリズムの問題について深く考えさせるきっかけとなりました。

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