モホーク族

モホーク族の文化と歴史

モホーク族（Mohawk）は北アメリカの先住民族で、カニエンケハカ（Kanienkehaka）とも呼ばれています。この名前は「火打石の人々」という意味を持ち、彼らの文化や生活様式に深い関わりがあります。モホーク族は狩猟や農業を営む部族であり、トウモロコシやカボチャ、豆などを耕してきました。彼らは樹皮で覆った長屋に住んでおり、これが「ロングハウスの人々」と呼ばれる由来になっています。

モホーク族はユニークな髪型でも知られており、特に「モホーク刈り」と呼ばれるスタイルが特徴的です。現代においては、彼らの主要な居住地域はアメリカのニューヨーク州北部で、特にカナダ国境に近いセント・レジスが最大のコミュニティ地となっています。また、オンタリオ湖の南岸やカナダのケベック州、オンタリオ州にも定住していることが確認されています。

モホーク族は、セネカ族やオノンダ族、オナイダ族、カユガ族、タスカローラ族と共に、イロコイ連邦を結成し、伝統的な文化と政治的な結束を保っています。20世紀後半における彼らの人口は約5,000人に達しており、農業を続けている家庭もありますが、多くはニューヨークやカナダの都市部に移住し、「スカイウォーカー」として知られる高層ビルの建設現場で働いています。彼らは世界貿易センタービルやエンパイア・ステート・ビルなどの主要な建設プロジェクトに携わり、現代社会のインフラを支える労働者層の一翼を担っています。特に2001年のアメリカ同時多発テロ事件の際、彼らはビルの残骸の撤去や遺体の捜索にも関与しました。

モホーク族は17世紀にオランダ人入植者と友好関係を築き、彼らと毛皮の交易を行いました。この時期、フランス人の商人とも交易を結び、ヨーロッパ人と比較的平和に共存していました。この平和な関係の一方で、1630年にはアルゴンキン諸族と敵対する部族に対して攻撃を行い、イロコイ戦争が勃発しました。この戦争では、モホーク族が勝利を収め、オランダ人からビーバーの毛皮と引き換えにライフル銃を得ることに成功しました。

その後、ニューアムステルダムがイギリスによって支配されると、モホーク族はイギリス側と同盟を結びました。アメリカ独立戦争の際には、指導者のジョセフ・ブラント（タイエンダネギー）がイギリス軍に協力するも、最終的にはアメリカ独立派の勝利に終わりました。1794年11月11日には、ブラントはイロコイ連邦の部族と共にカナンデグア条約に署名し、フォールン・ティンバーズの戦いが終結しました。その後、モホーク族は現在のカナダ北部に移動し、イギリス軍の傭兵的な役割を果たしていくことになります。

モホーク族は、豊かな文化と歴史を持つ民族であり、現代社会においてもその足跡を残し続けています。

もう一度検索