モリシア津田沼

モリシア津田沼の歴史と未来

千葉県習志野市、JR津田沼駅南口のシンボルの一つであった複合商業施設「モリシア津田沼」は、2025年3月30日をもってその役割を終え、閉館しました。約半世紀にわたる歴史を持つこの施設は、駅周辺の発展とともに歩んできましたが、老朽化に伴う大規模な再開発計画のため、建て替えが予定されていました。しかし、閉館後、その再開発計画に不透明な状況が生じています。

サンペデックとしての誕生

モリシア津田沼の前身は、1978年10月14日に開業した「サンペデック」です。これは、1970年代に進められた国鉄（現JR）津田沼駅南口の再開発事業として生まれました。習志野市が公募した開発計画に基づき、フジタ工業（現フジタ）が出資した「津田沼開発」によって建設されました。

開業当時のサンペデックは、地上11階建ての建物内に、核テナントである津田沼髙島屋と津田沼ダイエーをはじめ、多数の専門店、本格的な飲食店街、銀行、アミューズメント施設、さらには1,475席の習志野文化ホールや結婚式場、オフィスなどが集まる、地域の一大拠点でした。施設前には広場や公園が整備され、賑わいを見せました。

しかし、開業から10年後の1988年には津田沼髙島屋が閉店。その跡地をダイエーが活用し、ディスカウントストア「エキゾチックタウン」を開店しました。ダイエー津田沼店はエキゾチックタウンを含め、一時期は日本最大級の店舗面積と売上を記録するなど隆盛を誇りました。施設内部には、旧高島屋部分とダイエー部分の間の壁の名残や、エスカレーターの機種の違いなど、当時の構造を物語る痕跡が見られました。

時代の流れとともに、ダイエー本体の経営状況の変化や、近隣の商業施設（イオンモール津田沼など）との競合が厳しくなり、2005年11月、ダイエーはサンペデックから一度撤退します。これを機に、施設の所有権は当初の所有者から野村不動産グループへと移りました。

モリシア津田沼へのリニューアル

野村不動産グループは、サンペデックを取得後、大規模な改装工事を実施し、2008年3月13日に「モリシア津田沼」としてリニューアルオープンさせました。新たなモリシア津田沼は、イオンの都市型食品スーパー、TSUTAYA、ヤマダ電機などを核テナントとして迎え、物販やサービス、飲食、オフィスなど、多様なテナントで構成されました。

施設は主にMorisia Shop（物販・サービス）、Morisia Restaurant（飲食・その他専門店）、Morisia Office（オフィス）のゾーンに分かれていましたが、「Restaurant」と名のつくゾーンにも物販店が多く入居するなど、テナント構成には変遷が見られました。2017年には核テナントの一つだったイオンが閉店しましたが、その後すぐにダイエーが再び入居し、約12年ぶりにこの地での営業を再開するなど、商業環境の変化に対応しながら運営が続けられました。

閉館と不確実な再開発計画

モリシア津田沼は築年数を経て老朽化が進み、JR津田沼駅南口の再開発計画において、既存施設を取り壊し、より高機能な複合施設や高層マンションなどを建設する計画が具体化しました。この計画では、50階建ての住宅棟や地上9階建ての複合施設棟などを建設し、2031年度の主要施設完成を目指していました。これに伴い、施設内の習志野文化ホールも2023年3月31日から長期休館に入り、モリシア津田沼全体も2025年3月30日をもって閉館することが発表されました。

予定通り閉館の日を迎えましたが、閉館から約2ヶ月後の2025年5月、再開発事業の施行予定者である野村不動産は、建設費の高騰や社会情勢の不透明さを理由に、習志野市に対し再開発事業全体の延期を通達しました。さらに、閉館したモリシア津田沼の一部施設について、営業を再開することも検討していると明らかにしました。

野村不動産は事業自体を放棄するわけではないとしていますが、計画の中断が長期化する可能性にも言及しており、モリシア津田沼の跡地を含む駅南口の未来は、現時点では不確実な状況にあります。

サンペデック、そしてモリシア津田沼として長年親しまれてきたこの施設は、その歴史に一旦区切りをつけましたが、再開発計画の行方次第では、その姿を大きく変えるか、あるいは一時的にかつての賑わいを取り戻す可能性もあり、今後の動向が注目されます。

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