モルタル

モルタルについて

モルタルは、砂（細骨材）、セメント、そして水を練り合わせて作る建築材料です。通常、セメントと砂の混合比は1:2から1:3となることが多く、施工が容易であり、仕上げ材や目地材、さらには躯体の調整に使用されます。モルタルには砂利（粗骨材）は含まれていないため、コンクリートとは異なります。また、コンクリートに比べてコストが高く、クリープ現象によって伸縮が起こる可能性があるため、単独で構造材料として用いるのはあまり一般的ではありません。しかし、耐火性材料の選択肢も存在します。

モルタルの種類と特性

モルタルにはさまざまな種類があり、その選択は使用目的や結合材料の種類、密度に応じて行われます。以下に主要なモルタルの種類を紹介します。

セメントモルタル

セメントモルタルは、セメントが結合材料として、砂が骨材として用いられています。砂とセメントの割合は、耐久性と作業条件に基づいて決まります。耐水性に優れ、高い強度を有しています。

石灰モルタル

石灰モルタルは、石灰を結合材とし、天然な特性を生かしたものです。石灰には乾式の脂肪性石灰と、湿式の油圧石灰があり、異なる施工条件に応じて利用されます。

タイプ別モルタル

• - タイプNモルタル：中程度の強度を持ち、一般的な建築用途に使われる。
• - タイプSモルタル：高い接合度を持ち、耐風圧に優れる。下水道や歩道に適しています。
• - タイプMモルタル：高圧に耐える強度を持ち、基礎や道路に使用。
• - タイプOモルタル：低強度だが、内装修復などに適用されます。

利点と欠点

モルタルの利点としては、下地の継ぎ目が目立たず、全体的に滑らかな仕上がりになる点が挙げられます。また、高温になりにくく、耐久性に優れた特性があります。一方で、材料や人件費が高く、施工には熟練した技能が求められるため、時間とコストがかかるという欠点も存在します。さらに、天候による条件に敏感で、ひび割れが生じやすいというリスクもあります。

モルタルの施工方法

モルタルを施工する際は、まずラス板を構造材に固定し、次に防水シートを貼ります。その上に金網をタッカーで固定し、モルタルを塗っていきます。基本的には二層塗りが推奨され、クラック防止のためにネットを補強材として用いることが一般的です。施工後、モルタルは完全に乾燥させた後に漆喰や樹脂で上塗りが行われます。

日本におけるモルタルの歴史

日本では、大正12年の関東大震災を契機にモルタルが広く普及しました。震災後、ラスモルタル方式が取り入れられ、第二次世界大戦中には防火目的でも使用されるようになりました。昭和25年には建築基準法の改正が行われ、ラスモルタルの使用が規定されたことで、さらに普及が進みました。

モルタルは、建築において重要な役割を果たしており、その特性や施工方法を理解することは、安全で美しい建物を作る上で欠かせません。

もう一度検索