モルティエ (自動オルガン製造業者)

モルティエ（Mortier）について

モルティエは、かつてベルギーのアントウェルペンにあった著名なオルガン製造業者で、特にダンスオルガンやオーケストリオンの製造で知られています。この企業は、テオフィル・モルティエによって1898年に設立され、その背景には彼がフランスやドイツのオルガン製造業の影響を受けたことがあります。

テオフィル・モルティエはダンスホールの経営者としての経験を活かし、パリのオルガン製造業者ガヴィオリの販売代理店として事業をスタートしました。彼の経営するダンスホールでは、常にガヴィオリのオルガンの素晴らしい音色が響いていました。また、モルティエは自身が販売したダンスオルガンのメンテナンスを行うために修理工房を設立し、ここにはオルガン製造職人のギローム・バックスが関わりました。これにより、モルティエは顧客からの信頼を得て、修理やメンテナンスの面でも高い評価を受けるようになっていったのです。

1906年、モルティエはガヴィオリの関連会社として自動オルガンの製造を始めますが、やがてガヴィオリが供給不足に陥ると、モルティエは独自にダンスオルガンの製造を開始しました。第一次世界大戦後には、事業が拡大し、従業員数は80人に達し、大型のダンスオルガンを年間20台ほど製造するまでの規模に成長しました。モルティエが製造したダンスオルガンの中には、そのボリューム感に関して他社の製品に類を見ないものも存在していました。彼の企業は1948年まで運営を続けました。

モルティエのダンスオルガンの展示

モルティエが製造したダンスオルガンは、現在も各地の博物館に収蔵され、時折公開展示されています。オランダにあるオルゴール博物館には、1927年製造のダンスオルガンが展示されており、ドイツのシュパイアー技術博物館には1922年製や1947年製の製品が見られます。また、日本では河口湖音楽と森の美術館などでもモルティエによるダンスオルガンやフェアグランドオルガンが所蔵・展示されています。これらのオルガンは音楽だけでなく、当時の技術の粋を感じさせてくれる貴重な文化遺産として、多くの人に親しまれています。

モルティエの業績は、オルガン製造の歴史の中でも特に重要な位置を占めており、その製品は今なお愛され続けています。

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