モロッコ地震

モロッコ地震（2023年）

モロッコ地震は、2023年9月8日23時11分1秒（現地時間）に発生した深刻な地震です。震央はマラケシュ=サフィ地方のオウカイメデンから西南西約54km離れた地点に位置し、アメリカ地質調査所（USGS）の推定によるとマグニチュードは6.8です。気象庁による解析では、地震のマグニチュードは7.0とされています。震源の深さは約19kmであり、この地震は過去100年間で最も深刻なものの一つです。

地震の特徴

今回の震災は、震央近くで改正メルカリ震度階級VIIIを観測しました。これは日本の震度階級に換算すると震度5強から6弱に相当し、非常に強い揺れとなりました。マラケシュでは激しい揺れが観測された他、約350km離れた首都ラバトやカサブランカ、アガディールなどでも地震を感じることができました。

この地震の影響で多くの家屋が倒壊し、9月14日現在、死者2960人、負傷者5674人という報告があります。特に被害が激しかったのはアル・ホウズ州で、全体の死者の約半数がこの地域に集中しています。

地震の背景

モロッコ中部はアルプス・ヒマラヤ造山帯に属しており、ユーラシアプレートとアフリカプレートが接しています。この二つのプレートの衝突がストレスを生じ、地震が引き起こされました。過去の地震は主に北部地域で多く発生しましたが、今回の地震は南側で起きたもので、モロッコの地震活動の特徴からも注目されています。

歴史的な地震との比較

1960年に発生したアガディール地震は、M5.9の規模であり、死者は13000人を超える甚大な被害がありました。今回の地震はこの地震に次ぐ規模であり、長い間の地震活動を考えると非常に重要な出来事です。

被害の詳細

震源地に近い山間部では特に大きな損害が発生し、5万棟の住宅が影響を受けました。さらに、都市部から被災地へ繋がる道路は土砂崩れによって通行不能となり、救助活動に支障をきたしました。モロッコの第四の都市であるマラケシュでは、ユネスコの世界遺産である旧市街地が大きく被害を受け、文化財の一部も崩壊しました。

昼間でなく夜中の揺れだったため、多くの人が寝ていたことも被害を拡大させた要因と考えられています。また、建物の多くが泥レンガや補強の不十分な石積みであったため、地震の揺れに耐えられなかったことも大きな要因です。地震の影響で、震源地の周辺では新たに69ヶ所の湧き水が出現し、地盤の変動も確認されました。

政府の対応

モロッコ国王ムハンマド6世は、被災者への支援を呼びかけ、避難所や食料の提供を行うよう命じました。また、全国的な服喪期間が設けられ、公共の建物には半旗が掲げられました。地震後最初の週末には、犠牲者を悼むためのイスラム教の集団礼拝が行われました。

国際的な反応

地震の知らせを受け、世界中からモロッコへの弔意が寄せられました。特に日本やアメリカなどが支援の意向を示し、日本では赤十字社が救援金を募る取り組みを始めました。しかし、最初に受け入れた支援国にはアラブ首長国連邦、イギリス、カタール、スペインの4ヶ国に限定され、多くの国からの申し出を受け入れることはしませんでした。

地震の影響は広範に及び、特に建物の構造が根本的な問題として浮き彫りになりました。モロッコの建築基準や災害に対する備えの見直しが求められる中、今後の復興には時間と労力がかかるでしょう。

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