モンテネグロの大統領

モンテネグロの大統領は、国家元首として重要な役割を担っています。2007年施行のモンテネグロ憲法第3章に規定されており、その職務や選出方法、任期などが詳細に定められています。

大統領の職務

憲法第95条によれば、大統領は以下の職務を遂行します。

国家代表: 国内外においてモンテネグロを代表します。
軍の指揮: 防衛安全保障理事会の決定に基づき、陸軍を指揮します。
法律の公布: 法律を公布します。
議会選挙の執行: 議会選挙を執行します。
首相候補の提案: 議会の主要政党代表から助言を得た上で、首相候補を議会に提案します。また、憲法裁判所の裁判長および裁判官も議会に提案します。
外交使節団の任命: 政府からの提案を受け、国際関係を担当する議会委員会の助言を得た上で、国外に対する外交使節団の大使および長の任命や取り消しを行います。
外交官の接受: 外国より外交官の信任状や取消しの書状を受領します。
勲章等の授与: 勲章やメダルを授与します。
恩赦: 恩赦を与えます。
その他: 憲法や法律に定められるその他の任務を行います。

大統領の選出と任期

大統領は、議会議長が執行する一般国民による選挙で選出されます。立候補するためには、過去15年間に少なくとも10年間モンテネグロに居住しているモンテネグロ国民であることが必須条件です。議会にて宣誓を行った日に就任し、任期は5年間です。

ただし、大統領の任期が戦争または非常事態の間に満了を迎えた場合は、その非常事態が発生した状況が停止した後、最大90日間に限って任期が延長されます。同一人物の3回以上の選出は認められていません。また、大統領に就任した場合、それ以外の公職につくことは許されません。

任期満了前の終了と職務代行

大統領が任務を永久に遂行することができなくなった場合や、議会より弾劾された場合には、5年間の任期満了前でも任期が終了します。大統領の任務が停止した場合は新大統領が選出されるまで、また大統領の職務遂行が一時的に妨げられた場合は、議会議長が大統領の職務を代行します。

弾劾

大統領は憲法違反の責を負い、議員25名以上の提案があれば、大統領が憲法に違反したか否かを判断する手続きを開始することができます。この提案は議会より大統領に提出され、憲法裁判所が憲法違反の有無を判断し、その決定は速やかに議会および大統領に提出されます。違憲判断が下った場合、議会は大統領を弾劾できます。

モンテネグロの大統領は、国家の安定と発展に不可欠な存在であり、その職務は憲法によって厳格に規定されています。

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