モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行

モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行：世界最古の銀行の苦闘

1472年創業のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行（以下、モンテパスキ銀行）は、世界最古の銀行としてその歴史的意義を誇ります。イタリア、シエナにあるサリンべーニ宮殿に本部を置く同銀行は、イタリア国内でもトップクラスの規模を誇る大手銀行として長くその地位を保ってきました。しかし、近年は経営難に苦しむ姿が世界中に知られるようになっています。

栄光の歴史と深刻な経営危機

500年以上にわたる歴史の中で、モンテパスキ銀行はイタリア経済の隆盛と発展を支えてきました。しかし、21世紀に入ってから、同銀行を取り巻く状況は一変します。グローバル金融危機やイタリア経済の低迷など、内外からの圧力に晒されたモンテパスキ銀行は、2012年以降、赤字が続く状態に陥りました。

2014年には欧州中央銀行によるストレステストで約21億ユーロもの資本不足が指摘され、信用不安に陥ります。増資計画や他行との合併も検討されましたが、抜本的な解決策には至りませんでした。

巨額の不良債権と政府支援

事態はさらに深刻化し、2016年には不良債権額が約280億ユーロに達したと報じられました。50億ユーロの増資計画も失敗に終わり、同銀行はイタリア政府への公的資金援助要請に追い込まれました。この間の株価は年初から88％も暴落するなど、その経営状況の悪化は市場に大きな衝撃を与えました。

その後も、モンテパスキ銀行の経営再建は容易ではありませんでした。不良債権の処理や経営構造改革など、解決すべき課題は山積しており、イタリア政府による支援は継続的に行われました。2022年には、政府を中心とした増資が実施されたものの、同銀行を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。

未来への展望

モンテパスキ銀行は、世界最古の銀行としての歴史的価値と、イタリア経済における重要な役割を担っています。しかし、経営再建には、抜本的な改革と継続的な努力が不可欠です。不良債権問題の解決、経営効率の改善、そして新たなビジネスモデルの構築など、多くの課題に直面しながらも、同銀行の未来は、イタリア経済の行方と深く結びついています。今後の動向から目が離せません。

関連項目

スタディオ・アルテミオ・フランキ＝モンテパスキ・アレーナ (同銀行が命名権を取得しているスタジアム)

外部リンク

Banca Monte dei Paschi di Siena | index (イタリア語)

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