モン・パリ

『モン・パリ 〜吾が巴里よ!〜』

『モン・パリ 〜吾が巴里よ!〜』は、1927年9月1日に宝塚大劇場で初めて上演された、宝塚歌劇団花組による画期的なレビュー作品です。この作品は、宝塚歌劇のスタイルを確立する上で重要な役割を果たし、以降のレビューを新たな地平に導くものとなりました。

この演目は劇作家の岸田辰彌によって書かれ、振り付けは白井鐵造が担当しました。岸田は1919年から宝塚少女歌劇団の劇作家として活動しており、海外視察を通じて得られたインスピレーションが作品に色濃く反映されています。特に、彼自身をモデルにしたキャラクター、串田福太郎が見たパリの風景を再現するという内容が特徴です。

作品は250人もの出演者を擁し、幕なしで16の場面から構成されています。そのスケールは当時としては非常に大きく、宝塚での上演後、東京の歌舞伎座でも昼夜二回の興行が行われ、観客の熱狂を引き起こしました。

『モン・パリ』は「レビュー」というジャンル名が初めて用いられた作品であり、大階段やラインダンスなどの演出が当時の観客を魅了しました。特に、汽車の動輪を模した衣装を纏ったラインダンスは有名で、その視覚的なインパクトによって観客の記憶に刻まれました。また、主題歌も広く流行し、その影響が多くの人々に及びました。

この作品は、その後も何度も再演されることとなります。1928年には月組、雪組、花組の再演が行われ、続いて1947年には花組と月組が再演、1957年には雪組が再演しました。さらに、1977年には『モン・パリ誕生50年祭』が開催され、雪組と花組が共同で『ザ・レビュー』を上演しました。以降も、1987年の60周年記念、1997年の70周年記念、さらには2005年の77周年、2017年の90周年記念公演が続き、いずれも大きな話題となりました。

また、1929年には花組による歌唱が収録されたレコードが発売され、その人気は記録的なヒットを記録しました。コロムビアとオリエントの2社からリリースされ、多くの人に親しまれることとなりました。

さらに『モン・パリ』を記念したイベントは毎年9月1日に行われています。この日にちなんで、通常の公演終了後にミニコンサートが開催される習慣がありましたが、2018年には行われなくなっています。

『モン・パリ 〜吾が巴里よ!〜』は、宝塚歌劇団の歴史の中で重要な位置を占める作品であり、日本の音楽劇やレビューに与えた影響は計り知れません。

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