モーツァルテウム管弦楽団

モーツァルテウム管弦楽団（独: Das Mozarteum Orchester Salzburg）は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生誕地として名高いオーストリア・ザルツブルクに根差す、歴史あるオーケストラです。

その起源は、1841年に「大聖堂音楽協会とモーツァルテウム」として設立された組織に遡ります。設立当初は、ザルツブルク大聖堂における宗教儀式での演奏を中心に活動していました。楽団は変遷を経て、1939年には一時、ザルツブルク・モーツァルテウム大学に統合される時期もありました。しかし、1958年になると、ザルツブルク州とザルツブルク市の支援によって再び独立した組織として再建され、以降、プロフェッショナルなオーケストラとして本格的な演奏活動を展開しています。

モーツァルテウム管弦楽団の主要な活動の場の一つは、ザルツブルク州立劇場です。ここでは、年間を通して定期演奏会やオペラ公演など、多岐にわたるプログラムを上演しています。また、夏の恒例行事である世界的なザルツブルク音楽祭には不可欠な存在であり、「モーツァルト・マチネ」や各種のセレナーデ公演といった、モーツァルトゆかりの作品群を中心に、その質の高い演奏を披露し続けています。

レコーディングにおいては、しばしばモーツァルト作品などを比較的小編成で録音することが多いため、そのイメージが強いかもしれません。しかし、実際の楽団の規模は、およそ90名の奏者を擁する、充実した四管編成のオーケストラです。これにより、古典派からロマン派、さらには近代以降の作品まで、幅広い時代のレパートリーに対応する能力を持っています。

楽団の歴史を彩る重要な存在として、歴代の首席指揮者（Chefdirigenten）が挙げられます。創設期から現代に至るまで、多くのマエストロがモーツァルテウム管弦楽団の音楽づくりを牽引してきました。主な歴代首席指揮者は以下の通りです。

アロイス・タウクス (Alois Taux) 1841年 - 1861年
ハンス・シュレーガー (Dr. Hans Schläger) 1861年 - 1868年
オットー・バッハ (Dr. Otto Bach) 1868年 - 1879年
ヨーゼフ・フリードリヒ・フンメル (Joseph Friedrich Hummel) 1880年 - 1908年
ヨーゼフ・ライター (Joseph Reiter) 1908年 - 1911年
パウル・グレナー (Dr. Paul Graener) 1911年 - 1913年
フランツ・レドヴィンカ (Franz Ledwinka) 1913年 - 1917年
ベルンハルト・パウムガルトナー (Bernhard Paumgartner) 1917年 - 1938年
ヴィレム・ヴァン・ホーフストラーテン (Willem van Hoogstraten) 1939年 - 1944年
ロベルト・ヴァーグナー (Robert Wagner) 1946年 -
パウル・ヴァルター (Paul Walter)
マインラート・フォン・ツァリンガー (Meinrad von Zallinger)
エルンスト・メルツェンドルファー (Ernst Märzendorfer) 1953年 - 1958年
マインラート・フォン・ツァリンガー 1959年
ムラデン・バシチ (Mladen Basič) 1960年 - 1969年
レオポルト・ハーガー (Leopold Hager) 1969年 - 1981年
ラルフ・ヴァイケルト (Ralf Weikert) 1981年 - 1984年
ハンス・グラーフ (Hans Graf) 1984年 - 1994年
ユベール・スダーン (Hubert Soudant) 1994年 - 2004年
アイヴァー・ボルトン (Ivor Bolton) 2004年 - 2016年
リッカルド・ミナージ (Riccardo Minasi) 2017年 ‐ 2024年
ロベルト・ゴンザレス＝モンハス (Roberto González-Monjas) 2024年 ‐ (現任)

(※一部の指揮者については、任期期間が情報に明記されていません。)

モーツァルトの故郷ザルツブルクにおける音楽文化の重要な担い手として、モーツァルテウム管弦楽団はその活動を通じて、この街の芸術的な魅力を高め続けています。

楽団のより詳細な情報については、公式ウェブサイトをご覧ください。Das Mozarteum Orchester Salzburg

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