モーリス・チークス

モーリス・チークス：バスケットボール界のレジェンド

モーリス・エドワード・チークス（Maurice Edward Cheeks、1956年9月8日 - ）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のバスケットボール選手、指導者です。NBAのフィラデルフィア・76ers（シクサーズ）などで輝かしいキャリアを築き、引退後はポートランド・トレイルブレイザーズ、76ers、デトロイト・ピストンズでヘッドコーチを歴任しました。現在はシカゴ・ブルズのアシスタントコーチを務めています。

選手としての輝かしいキャリア

チークスは、西テキサス州立大学（現ウェスト・テキサスA&M大学）で1974年から1978年までプレイし、ミズーリバレー・カンファレンスのオールスターに3年連続で選出されるなど、その才能を発揮しました。1試合平均16.8得点、シュート成功率57%近くという素晴らしい成績を残し、大学史上3位の得点記録保持者となっています。

1978年のNBAドラフトで、2巡目全体36位でフィラデルフィア・76ersに指名され入団。その後15シーズンのキャリアのうち、11シーズンをシクサーズで過ごしました。NBAオールスターゲームには4回出場し、NBAファイナルには1980年、1982年、1983年と3回出場。1983年には優勝を果たし、チャンピオンリングを手にしました。

チークスがポイントガードとしてプレイした時期には、ジュリアス・アービング、モーゼス・マローン、アンドリュー・トニー、チャールズ・バークレーといったスター選手たちがチームに在籍していました。彼は献身的なプレイとディフェンスでチームに貢献し、1983年から1986年までは4年連続でオール・ディフェンス・ファーストチームに選出、1987年にもセカンドチームに選ばれるなど、守備の名手としても知られています。

また、チークスは通算スティール数でNBA歴代6位、アシスト数で歴代15位という記録を保持しています（1993年の現役引退時はスティール数歴代1位、アシスト数歴代5位）。キャリア平均では、1試合あたり11.7得点、2.1スティールという数字を残しました。

指導者としての挑戦

現役引退後、チークスは指導者としての道を歩み始めます。CBAで1シーズンヘッドコーチを務めた後、古巣のフィラデルフィア・76ersで7シーズンアシスタントコーチを務め、2001年にはNBAファイナル出場に貢献しました。2001年にはポートランド・トレイルブレイザーズのヘッドコーチに就任し、プレーオフにも2回出場しましたが、1回戦突破は果たせず、2004年開幕直後に解任されました。

2005年には、シクサーズのヘッドコーチに再び就任。最初の2シーズンはプレーオフ出場を逃しましたが、2007年にはチームをプレーオフに導き、イースト第7シードを獲得しました。しかし、2008年12月には成績不振のため解任され、2013年にはデトロイト・ピストンズのヘッドコーチに就任するも、短期間で解任されています。

バスケットボール殿堂入り

2018年3月31日、モーリス・チークスはバスケットボール殿堂入りを果たしました。これは、彼の選手、指導者としての長年の功績が認められた証です。

エピソード

2003年4月25日のポートランド・トレイルブレイザーズ対ダラス・マーベリックス戦で、アメリカ国歌斉唱を行っていた13歳のナタリー・ギルバートが歌詞を忘れかけた際、チークスは彼女のそばに駆け寄り、共に最後まで歌い切りました。この行動は、観客からスタンディングオベーションで称えられました。

ポートランドではファンやメディアから好意的に受け止められていましたが、一部のメディアからは、コーチとしての適性や戦術に関する知識に疑問を呈されることもありました。しかし、彼のバスケットボールへの情熱と献身は、多くの人々に感銘を与え続けています。

モーリス・チークスは、選手として、指導者として、そして人間として、バスケットボール界に多大な影響を与えたレジェンドです。

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