モーリス・ティリエ

モーリス・ティリエ（Maurice Thiriet, 1906年4月2日 - 1972年9月28日）は、フランスの作曲家です。ムーラン出身で、20世紀のフランス音楽界において重要な役割を果たしました。

教育と初期のキャリア

1925年、ティリエはパリ国立高等音楽・舞踊学校に入学し、音楽の研鑽を積みました。対位法とフーガをシャルル・ケクランに、管弦楽法をロラン＝マニュエルに師事しました。1931年に同校を卒業した後、モーリス・ジョベールの勧めで映画音楽の作曲を始めました。この時期の経験が、彼の後の作曲活動に大きな影響を与えました。

映画音楽の分野での活躍

ティリエは1942年から1960年にかけて、20本もの映画音楽を手がけました。その中には、『悪魔が夜来る』、『天井桟敷の人々』、『めぐりあい』、『美しき小さな浜辺』、『嘆きのテレーズ』、『花咲ける騎士道』、『外人部隊』、『われら巴里ッ子』、『罪と罰』など、映画史に残る名作も含まれています。彼の映画音楽は、映画の雰囲気を高め、観客の感情を揺さぶる力を持っていました。

その他の作品

映画音楽以外にも、ティリエは2つのオペラ、10のバレエ、フルート協奏曲など、幅広いジャンルの作品を作曲しました。彼の作品は、ロラン＝マニュエルとジョベールから影響を受けた印象主義音楽的な和声と、古典主義的な優美さを特徴としています。代表作には、1935年の『インカの主題による狂詩曲』、1936年の『弦楽のための詩曲』、1950年のバレエ『プシュケー』、1953年のバレエ『ヘラクレス』、1959年の『フルート協奏曲』などがあります。

作風と影響

ティリエの作風は、印象主義音楽の色彩感と、古典主義音楽の形式美を融合させたものです。彼の音楽は、繊細で優美なメロディー、豊かなハーモニー、そして洗練されたオーケストレーションが特徴です。特に、彼のバレエ音楽は、ドラマティックで動きのある音楽であり、観客を魅了しました。また、映画音楽では、映像と音楽が見事に調和し、作品の芸術性を高める役割を果たしました。ティリエの音楽は、フランス音楽の伝統を受け継ぎながらも、独自のスタイルを確立しており、多くの作曲家に影響を与えました。

参考文献

Steffen A. Schmidt: Artikel Thieriet, Maurice (Charles), in: Die Musik in Geschichte und Gegenwart, 2., neubearbeitete Ausgabe, Personenteil Band 16, Bärenreiter, Kassel 2006, ISBN 3-7618-1136-5, Sp. 763f.
Mark Brill: Artikel Thieret, Maurice, in: The New Grove Dictionary of Music and Musicians, 2nd edition, Vol. 25, Macmillan, London 2001, ISBN 0-333-60800-3, S. 401f.

外部リンク

* モーリス・ティリエ - IMDb（英語）

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