ヤス・マリーナ・サーキット

ヤス・マリーナ・サーキット: アブダビのモータースポーツ中心地

ヤス・マリーナ・サーキットは、アラブ首長国連邦のアブダビにあるヤス島に位置するモータースポーツのサーキットであり、特にF1グランプリの開催地として知られています。このサーキットは、アルダー・プロパティズによる大規模なリゾート開発計画の一環として建設され、著名なサーキット設計者ヘルマン・ティルケが関与しました。最初の計画では、公道を利用してサーキットを構成する予定でしたが、最終的には完全なトラック形式のサーキットが完成しました。

独特なコースと設計

ヤス・マリーナ・サーキットの特徴の一つは、ピットレーンのユニークな構造です。ピットがストレートの右側にあり、サーキット本線の地下を通って合流する方式になっています。また、7コーナーのヘアピンの向かいには、屋内テーマパーク「フェラーリ・ワールド」の大きな屋根が広がっており、ターン18から19にかけては隣接するヤス・マリーナ・ホテルの下を通過する設計が施されています。このように、サーキットは視覚的にも非常に印象的です。

コースレイアウトには約1.2キロのバックストレートがあり、これは2009年に持ち込まれたF1コース中で最長でした。しかし、その記録はベトナムGPのハノイ市街地コースによって更新される予定でしたが、それが中止となったため、ヤス・マリーナ・サーキットが最長の記録を維持することとなりました。2020年までのF1マシンの平均速度は200kmに達し、これは低速サーキットとしても知られるハンガロリンクと同等でした。

コース改修と進化

2009年の完成時に全長は5.554km、コーナー数は21でしたが、40%を超えるレイアウト変更が企図され、2021年6月にはターン7のシケインの廃止といった改修が行われました。これにより、全長は5.281kmに短縮され、コーナー数も16に減少しました。この修正により、平均速度が向上し、2019年のコースレコードが大幅に短縮される結果となりました。

サーキットはまた新素材の衝撃吸収材を使用しており、近年のサーキットの中ではランオフエリアが狭いのが特徴です。これにより観客席がコースに近く、レース観戦がより迫力あるものとなります。同サーキットはターマックに黒と水色のストライプ模様が敷かれ、選択式のシケインやショートカットルートが複数配置されており、様々なレイアウトが楽しめる工夫がされています。

F1と自動運転車レースの開催

ヤス・マリーナ・サーキットでは、2007年にアブダビF1フェスティバルで公式にF1の開催が発表され、2009年には世界初のトワイライトレースが行われました。このレースは、午後5時にスタートし、コース全体には夜間用の照明設備が完備されています。また、2024年4月には、自動運転車による本格的なサーキットレース『ABU DHABI AUTONOMOUS RACING LEAGUE』（A2RL）が初開催され、興味を集めました。

サーキットの評価とアクセス

多くの専門家は、ヤス・マリーナ・サーキットが2本のロングストレートを有しながらも、オーバーテイクが難しい印象を持つとの評価をしています。特に2010年のアブダビGPでは、チャンピオン決定戦として注目されたものの、迫力のないレース展開が批判を浴びました。そのためコースレイアウトの見直しが検討されましたが、DRS（ドラッグ・リダクション・システム）の導入により過度な変更は見送られました。

最後に、ヤス・マリーナ・サーキットは、アブダビ市内からタクシーで20-30分、ザイード国際空港からは約15分でアクセス可能で、観戦やレース体験を楽しむのに最適な場所となっています。このサーキット内にはヤス・マリーナ・ホテルやマリーナ、ヘリポートも完備され、周辺には数件の大型ホテルも点在しています。

もう一度検索