ヤヌシュ3世

ヤヌシュ3世：マゾフシェ最後の公爵と公国の終焉

ヤヌシュ3世（1502年 – 1526年3月9日/3月10日）は、ポーランドのマゾフシェ公国の統治者であり、マゾフシェ・ピャスト家の最後の当主として歴史に名を刻んでいます。父はマゾフシェ公コンラト3世ルディ、母はリトアニア大法官ミカロユス・ラドヴィライティスの娘アンナという家系に生まれました。

生涯と治世

1503年に父が亡くなると、幼いヤヌシュ3世は兄スタニスワフと共にチェルスク地方を相続し、ポーランド王アレクサンデルの支持を受けてマゾフシェ公の地位を継承します。しかし、幼少のため、母アンナ・ラジヴィウヴナが摂政として公国を統治しました。1518年、ヤヌシュ3世とスタニスワフはポーランド王ジグムント1世とボナ・スフォルツァの結婚式に招待され、1519年に始まったポーランド・テュートン戦争ではポーランド側として参戦しています。

1518年に親政を開始しますが、貴族たちはアンナが権力を移譲することに反対し、1522年にアンナが亡くなるまで事実上の統治者であり続けました。母の死後、兄弟は享楽的な生活を送るようになり、1524年にスタニスワフが亡くなるまで共同統治を続けました。

1526年3月9日または10日にヤヌシュ3世が死去。彼の死により、シェモヴィト1世から続くマゾフシェ・ピャスト家は断絶しました。遺体は公国の首都ワルシャワの聖ヤン聖堂に埋葬されました。

死とその後

ヤヌシュ3世兄弟の死後、暗殺説が流れ社会不安を引き起こしましたが、国王ジグムント1世はこれを否定しました。歴史家マルチン・ビェルスキは、兄弟の死因をアルコール中毒と推測し、結核説を唱える者もいました。

ヤヌシュ3世の死後、マゾフシェ公国はポーランド王国に併合されました。一部の貴族は独立を維持しようと抵抗し、公爵兄弟の姉アンナ・マゾヴィエツカに相続させるべきだと主張しましたが、ジグムント1世はこれを拒否し、自らを相続人として認めさせました。公国はヤギェウォ王家にとって重要な財産となり、1576年まで一定の自治を認められていました。

ヤヌシュ3世の死は、マゾフシェ公国の歴史における終焉であり、ポーランドの歴史における重要な転換点となりました。彼の生涯は、公国の独立と、その後のポーランドへの統合という、激動の時代を象徴するものとして語り継がれています。

参考文献

Samuel Orgelbrand, Encyklopedja Powszechna
Józef Szujski, Historyi polskiéj treściwie opowiedzianéj ksiąg dwanaście

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