ヤブロネツ・ナド・ニソウ

ヤブロネツ・ナド・ニソウ：ガラスと宝飾品の街、そして豊かな歴史

ヤブロネツ・ナド・ニソウは、チェコ共和国リベレツ州に位置する人口約4万6千人の都市です。ボヘミア地方に属し、ニサ川沿いの美しい景観と、歴史的建造物が立ち並ぶ中心街が特徴です。その歴史は古く、14世紀に村として創設され、1356年には公文書に初めてその名が記されました。チェコ語で「リンゴの木のある土地」を意味する地名が示すように、豊かな自然に恵まれた土地であったことがうかがえます。

激動の歴史と産業の隆盛

1496年には、ボヘミア国王イジーとラウジッツ地方の自治体との戦いの際に、暴徒によって村が焼き討ちに遭うという悲しい出来事がありました。しかし、ヤブロネツ・ナド・ニソウはその後も発展を続け、18世紀には人工宝石の生産が始まり、J・F・シュヴァンといった輸出業者の活躍によってヨーロッパ中にその名が知れ渡るようになりました。ドイツ語名「ガブロンツ」として知られたこの地は、1808年に郡区に、1866年には町に昇格しました。

19世紀に入ると、ガラス加工と人工宝石製造産業は急速に発展し、ヤブロネツ・ナド・ニソウは繁栄を極めました。普仏戦争による一時的な打撃を乗り越え、海外市場への進出を図った貿易業者たちの努力が実を結び、多様な製品を生み出すことで都市の生活レベルも向上していきました。街の再開発も進み、人口も増加しました。しかし、1929年の世界恐慌はガラス加工と宝石産業に大きな打撃を与え、街の経済は深刻な危機に直面します。

20世紀前半、ズデーテンラントと呼ばれたこの地域は、ドイツ系住民が多数派を占めていました。1938年、ミュンヘン会談後にはナチス・ドイツに占領され、第二次世界大戦終結後の1945年には、ドイツ系住民の追放とチェコ人入植が行われ、「ガブロンツ」から「ヤブロネツ・ナド・ニソウ」へと改名されました。追放されたドイツ人の中には、バイエルン州やオーストリアに新たな「ガブロンツ」を建設した人々もいました。

現代のヤブロネツ・ナド・ニソウ

現在、ヤブロネツ・ナド・ニソウは、ガラスと宝飾品、特にビジューの生産地として、そしてイゼラ山地のリゾート地として知られています。また、地域の教育の中心都市でもあります。リベレツ市電によるリベレツ市へのアクセス、鉄道網、充実したバス路線など、交通網も整備されています。

スポーツも盛んで、チェコ1部リーグに所属するサッカークラブFKバウミト・ヤブロネツの本拠地であり、水泳プール、スタジアム、アリーナ、体育館などの充実したスポーツ施設を有しています。1900～1930年代の近代建築物も多く残されており、歴史と近代が調和した都市景観が魅力です。

市内には、歴史的な市庁舎、機能主義様式の現代的な市庁舎、バロック様式やアール・ヌーヴォー様式の教会など、見どころも満載です。1904年創設のガラスとコスチューム・ジュエリーの博物館は、アール・ヌーヴォー様式の建物に収まり、この地の伝統産業を学ぶことができる貴重な施設です。ヤブロネツ渓谷ダムはヨーロッパ最北に位置する都市圏のダムとして、技術史的にも注目に値します。

数多くの姉妹都市と友好関係を結び、活気ある国際交流も展開しています。陸上競技選手、スキージャンプ選手、クロスカントリースキー選手、指揮者など、多くの著名人も輩出しています。ヤブロネツ・ナド・ニソウは、歴史と伝統、そして現代の活力に満ちた、魅力的な街と言えるでしょう。

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