ヤマハ・エクセル

ヤマハ・エクセル：快適性を追求したジョグの上位モデル

ヤマハ発動機がかつて製造・販売していたスクーター「エクセル (CK50E)」は、同社の代表的スクーターである「ジョグ」の上位機種として、1986年6月に登場しました。現在では販売を終了していますが、その快適性を重視した設計や、当時話題となったCMなどから、多くのファンを魅了したモデルとして記憶されています。

ジョグをベースにした上質な走りと快適性

エクセルは、ジョグと共通の空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載していました。最高出力は5.8psと、当時のスクーターとしては十分な性能を誇っていました。しかし、エクセルは単にジョグの改良版というわけではありませんでした。快適性の向上を重点に開発されており、エンジンには防振マウントを採用することで、走行中の振動を低減。さらに、フロントサスペンションには、ボトムリンク方式（トレーリングリンク式）を採用することで、路面からの衝撃を効果的に吸収し、スムーズな走行を実現していました。これらの工夫により、ジョグよりも一段と上質な乗り心地を提供することに成功しました。

デザインとマーケティング戦略

スタイリングにおいても、ジョグよりも洗練されたデザインが採用されており、より大人向けの高級感を演出していました。カラーリングも豊富で、ユーザーは自分の好みに合わせて選択することができました。また、マーケティングにおいても、当時人気絶頂だったWGPライダーの平忠彦氏をCMに起用するなど、積極的な宣伝活動を行いました。平忠彦氏の爽やかなイメージとエクセルの洗練されたデザインは、多くのライダーの心を掴み、エクセルの高い人気に貢献しました。

1986年度グッドデザイン賞受賞

エクセルの優れたデザインと、快適性を追求した設計は高い評価を受け、1986年度グッドデザイン賞を受賞しました。これは、単なる乗り物としての枠を超え、デザイン性と機能性を両立させた、優れた製品であることを証明するものでした。

車両重量増加と販売終了

快適性向上のための設計変更に伴い、ジョグに比べて車両重量が約10kg増加しました。これは、当時のスクーターとしては比較的重い部類に入り、取り回しの面で若干の難点がありました。また、時代の流れとともに、より高性能で多様な機能を持つスクーターが登場し、エクセルの販売は次第に減少していきました。そして、ヤマハ発動機はエクセルの販売を終了しました。

まとめ

ヤマハ・エクセルは、快適性と洗練されたデザインを両立させた、優れたスクーターでした。ジョグの上位機種として、多くのユーザーに支持され、1986年度グッドデザイン賞を受賞したことは、その高い評価を証明しています。現在では販売を終了していますが、その存在は、ヤマハ発動機のスクーターの歴史において重要な位置を占めています。当時を知るライダーや、快適なスクーターを探しているライダーにとって、エクセルは今もなお、魅力的なモデルと言えるでしょう。

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