ヤマハ・ジッピィ

ヤマハ発動機 ジッピィ：軽快な走りと個性を両立したレジャーバイク

1973年、ヤマハ発動機は若者層をターゲットとした画期的なオートバイ、ジッピィを世に送り出しました。これは同社初のレジャーモデルであり、そのスポーティーでファッショナブルなデザインは、当時のバイクシーンに新風を吹き込みました。

ジッピィの車名は「元気のよい」「活発な」といった意味合いを持ち、その名にふさわしく、軽快な走りとスタイリッシュなルックスを兼ね備えていました。広告には人気俳優の井上順を起用するなど、積極的なマーケティング戦略も展開されました。

ジッピィには、排気量とミッションの種類によって2つのモデルが存在しました。一つは49cc、4.5psのジッピィ50（LB50I）、もう一つは72cc、6.2psのジッピィ80（LB80I）です。どちらも2ストローク単気筒エンジンを搭載し、力強い加速と軽快なハンドリングを実現していました。

トランスミッションはモデルによって異なり、ジッピィ50は自動遠心クラッチ式ロータリー3速、ジッピィ80はハンドクラッチ式4速が採用されました。このミッションの違いは、サイドカバーのデザインにも反映されており、それぞれのモデルに個性的な外観を与えています。

ジッピィの大きな特徴の一つに、そのライディングポジションの自由度があります。シート高はわずか695mmと低く設計され、アップハンドルと645mmというロングシートによって、ライダーはリラックスした姿勢で走行することができました。さらに、前輪14インチ、後輪8インチという前後異径タイヤを採用することで、オフロード走行も可能な高い走破性を備えていました。

ジッピィは、そのデザイン性と走行性能によって、当時多くの若者から支持を集め、街の風景に彩りを添えました。個性的なスタイリングと扱いやすい操作性、そして高い実用性は、ジッピィを単なる移動手段ではなく、青春時代を彩る一台として記憶に残る存在にしています。

今日、ジッピィは生産を終了していますが、その独特のデザインと高い人気から、現在でも多くのファンを魅了し続けています。ヤマハ発動機のコミュニケーションプラザでは、ジッピィ（LB50IC）が展示されており、当時の技術やデザインを体感することができます。ジッピィは、日本のバイク史において、重要な位置を占める一台と言えるでしょう。ジッピィを含むヤマハのレジャーバイクシリーズには、チャピィやボビィなど、個性的なモデルが数多く存在しました。これらのモデルは、それぞれの時代を反映したデザインと技術で、多くのライダーに愛されています。ジッピィの登場は、日本のオートバイ業界に大きな影響を与え、後のレジャーバイクブームの礎を築いたと言えるでしょう。

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