ヤマハ・トライ

ヤマハ・トライ(TRY)：軽快な走りとスタイリッシュなデザインが魅力のレジェンドスクーター

1985年3月、ヤマハ発動機から発売されたスクータータイプの原動機付自転車「トライ(TRY)」は、同社のヒット商品である「ジョグ」を弟分として位置づけられ、若者層をターゲットに開発されました。そのスタイリッシュなデザインと軽快な走りは、多くの若者たちの心を掴み、現在でも根強い人気を誇る一台です。

デザインと車体

トライの特徴はなんといってもその独創的なデザインです。特徴的な「トライアングルライン」と呼ばれるデザインを採用し、リアキャリアもそのデザインに合わせた傾斜した配置となっています。しかしながら、使い勝手の面も考慮されており、水平タイプのリアキャリアもオプションとして用意されていました。

ボディカラーは、イエロー、レッド、ブルーの3色展開。どれも若々しく、軽快感のあるカラーリングで、当時の若者たちのファッションにもマッチする、洗練されたデザインが施されていました。

軽量化を追求した設計もトライの大きな特徴です。前輪には3.00-8インチ、後輪には2.75-10インチのタイヤを採用し、車両重量は乾燥重量でわずか49kgと、非常に軽量に仕上がっていました。この軽量化を実現するために、キックスターターは省略され、セルスターターのみの仕様となっています。

エンジンと性能

搭載されるエンジンは、ヤマハのキュートに搭載されていたエンジンをベースとした空冷2サイクル単気筒エンジンです。片持ちクランク方式を採用し、最高出力5.0ps/7000rpm、最大トルク0.55kg-m/5500rpmを発揮します。キャブレターは右側面に配置されており、整備性も良好です。オイル供給は電動タイプの自動給油オイルポンプを使用。駆動方式はVベルト式無段変速を採用していました。

片持ちクランク方式は耐久性が低いというイメージを持たれがちですが、極端なチューニングを行わない限りは問題なく、ノーマルの状態ではスタートダッシュの良さや高回転域での伸びも良好でした。

価格と市場での評価

当時のメーカー希望小売価格は99,800円と、非常にリーズナブルな価格設定もトライの魅力の一つでした。その軽快な走り、スタイリッシュなデザイン、そして手頃な価格という3拍子が揃ったトライは、多くの若者から支持され、市場において大きな成功を収めました。

まとめ

ヤマハ・トライは、その軽快な走り、スタイリッシュなデザイン、そして手頃な価格という魅力的な要素を兼ね備えた、1980年代を代表するスクーターの一つです。生産終了から年月が経った現在でも、そのデザインや性能は高く評価されており、多くのファンを魅了し続けています。現在では入手困難な一台ですが、中古市場などで見かける機会があれば、ぜひその魅力に触れてみてください。

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