ヤマハ・フォーゲル

ヤマハ・フォーゲル：手軽さと実用性を兼ね備えた小型バイク

1980年代、日本のバイク市場において、手軽に扱える小型バイクは高い人気を誇っていました。ヤマハ発動機もこの市場に参入すべく、本田技研工業のゴリラに対抗するモデルとして開発に着手したのが、今回ご紹介する「フォーゲル (VOGEL)」です。

フォーゲルという愛称は、ドイツ語で「鳥」を意味します。その名の通り、軽快な走りとコンパクトな車体が特徴で、多くのユーザーから親しまれました。正式型番はQB50。その可愛らしいルックスと、実用的な機能性の高さから、当時の若者を中心に人気を博しました。

コンパクトで実用的な設計

フォーゲルの最大の特徴は、そのコンパクトさです。ハンドルは折りたたみ式となっており、ガソリンタンクにも漏れ防止のコックが装備されているため、乗用車のトランクにも容易に積載可能でした。10リットルの大容量燃料タンクは長距離走行も可能にし、ツーリングにも対応できる実用性を備えていました。

足回りは前後8インチの合わせホイールにチューブタイヤを採用。シンプルながらも安定した走行を実現しています。エンジンは空冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブ49ccで、ヤマハの他のモデルであるGT50やMR50と同系統のエンジンを搭載。4速リターンミッション（ボトムニュートラルシフト）により、スムーズな変速操作が可能でした。着座位置は後輪上に近く、クラッチ操作によってはウイリーするほどのパワーを感じることができました。

モデルバリエーションと販売期間

フォーゲルは1980年に4U71型として発売されました。ボディカラーはアロマグリーン（深緑）、ニューエルトロオレンジ（橙）、ニューホワイト（白）の3色がラインナップされていました。発売から1983年までの3年間、多くのユーザーに愛用され、その後生産終了となりました。

兄弟車：ヤマハ・ポッケ

フォーゲルと兄弟車として知られるのが「ポッケ」です。ポッケも小型で扱いやすいバイクとして人気を博しましたが、フォーゲルとは異なるデザインや機能性を持ち合わせていました。両車とも、ヤマハが小型バイク市場において展開した重要なモデルと言えるでしょう。

まとめ

ヤマハ・フォーゲルは、そのコンパクトな車体と実用的な機能性、そして愛らしいデザインによって、多くのユーザーから支持されたモデルです。短期間の販売でしたが、その存在感は今もなお多くのバイクファンに記憶されています。折りたたみハンドルや大容量燃料タンクといった、現代のバイクにも通じる先進的なアイデアも取り入れられており、改めてその魅力を再確認できる一台と言えるでしょう。 現在では中古市場でしか手に入らない希少車となっていますが、その独特の乗り味とデザインは、多くの愛好家を魅了し続けています。

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