ヤマハ・ベルーガ

ヤマハ発動機が誇る、国産スクーターの金字塔「ベルーガ」

1981年、日本のバイク市場に新たな風を吹き込んだ一台、それがヤマハ発動機のスクーター「ベルーガ」です。同社が初めて本格的に取り組んだスクーターとして、その存在感は非常に大きく、後のスクーター開発に多大な影響を与えました。

ゆったりとした走りと、上質な装備

ベルーガ最大の特徴は、その車体の大きさです。当時のスクーターは、比較的小柄なものが主流でしたが、ベルーガは男性でもゆったりと乗れる、余裕のある設計が施されていました。これは、単なる大型化だけでなく、快適な走行を重視したヤマハの設計思想が反映されていると言えるでしょう。

CMキャラクターには、人気ジャズサックス奏者の渡辺貞夫氏を起用。洗練されたデザインと、上質な走りを印象づける戦略は、多くの消費者の心を掴みました。

2種類のエンジンと、便利なセルスターター

エンジンは、環境性能と扱いやすさを両立した2ストローク単気筒エンジンを搭載。排気量は50ccと80ccの2種類が用意され、それぞれ3.8psと5.0psの最高出力を発揮しました。また、全車にセルスターターが標準装備されていた点も、ベルーガの大きな魅力でした。始動の容易さは、多くのライダーにとって大きな利点だったと言えるでしょう。

トランスミッションには、スムーズな加速と変速の快適さを両立したVベルト式無段変速機を採用。これにより、初心者でも安心して運転できる、扱いやすいスクーターに仕上がっています。

更なる高級感を追求したデラックスモデル

発売から1年後となる1982年3月には、ベルーガの高級感を更に高めたデラックスモデル「ベルーガD」が登場しました。外観や装備の充実により、より上質な走りを求めるユーザー層のニーズに応えました。

ヤマハスクーターの歴史における重要な位置付け

ベルーガは、生産終了から年数が経過しているものの、日本のスクーターの歴史において、非常に重要な位置を占めています。ヤマハ発動機の本格的なスクーター開発の第一歩として、その技術やデザインは、後のスクーター開発に大きな影響を与えたことは間違いありません。現在では、ヤマハの技術革新によって、より高性能で環境に優しいスクーターが数多く登場していますが、ベルーガはそれらの礎を築いた、記念碑的な一台と言えるでしょう。

現在では生産が終了しており、中古車市場で出会う機会も限られていますが、その存在感は今もなお、多くのバイクファンに語り継がれています。もし、機会があれば、当時の資料や博物館などで、その姿と魅力を確かめてみてはいかがでしょうか。 ヤマハ発動機コミュニケーションプラザなどの展示施設では、貴重な実物が展示されているかもしれません。

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