ヤマハ・ボビィ

ヤマハ発動機製レジャーバイク「ボビィ」：気軽さとスポーティさを両立した1970年代の定番

ヤマハ発動機は、1970年代に若者層をターゲットとした、手軽でスポーティなオートバイを数多く世に送り出しました。「ジッピィ」や「チャピィ」といった人気モデルに続く、同社のレジャーバイク第3弾として1976年3月に登場したのが「ボビィ」です。

その車名は、軽快で明るいイメージの英語「bob」を愛称形にしたもの。「気ままに、ポンと跳ね回る」といった軽快さを表現しており、バイクの持つスポーティさと気軽さを巧みに反映しています。

ボビィは、発売当初、2種類の排気量モデルがラインナップされました。一つは49ccエンジンを搭載し、最高出力3.7psを誇る「ボビィ50（LB50III）」、もう一つは72ccエンジンを搭載し、最高出力4.9psの「ボビィ80（LB80III）」です。どちらも2ストローク単気筒エンジンを採用していました。

トランスミッションは、ハンドクラッチ式ロータリー4速が初期モデルとして発売されました。その後、1976年10月にはボビィ50に、より手軽な操作性を求めるユーザー向けに、自動遠心クラッチ式ロータリー3速モデルが追加され、幅広いユーザー層に対応できるようになりました。

発売から2年後、1978年8月には、ボビィのデザインに手が加えられました。カラーリングとグラフィックが変更され、より洗練された印象に生まれ変わりました。このタイミングで、ボビィ80は生産終了となりました。

そして1980年5月、ボビィはマイナーチェンジを受けます。この改良で、角型ヘッドライト、CDI点火方式、前後キャリアが新たに採用されました。また、車名ロゴもそれまでの筆記体風から大文字の「BOBBY」に変更され、より力強い印象となりました。ラインナップも整理され、50ccのハンドクラッチ車に一本化されました。これは、市場のニーズの変化や製造効率の向上などを考慮した結果だと考えられます。

ボビィは、そのスタイリッシュなデザインと扱いやすさから、多くの若者から支持を集め、1970年代後半から1980年代前半にかけて、日本の道路を彩る、身近な存在となりました。シンプルながらも実用的な設計、そして気軽に乗れる楽しさは、後の多くのレジャーバイクにも影響を与えたと言えるでしょう。現在では生産が終了していますが、ヤマハ発動機のコミュニケーションプラザでは、当時のボビィを見ることができるため、興味のある方はぜひ訪れてみてください。当時を知る方々にとって、ボビィは青春時代を彩った思い出深い一台となっていることでしょう。

もう一度検索