ヤマハ・BW'S

ヤマハBW'Sシリーズ：歴史とモデル解説

ヤマハ発動機が製造・販売するスクータータイプのオートバイ「BW'S」シリーズは、1988年の50ccモデル登場以来、長きにわたり人気を博しています。多様な排気量とモデルバリエーションを展開し、時代とともに進化を遂げてきました。本稿では、各モデルの特徴や歴史を詳しく解説します。

BW'S50

初代BW'S50（1988年発売）は、オフロード走行も可能なレジャーモデルとして登場しました。49ccの2ストロークエンジンを搭載し、特徴的な横目2灯のヘッドライト、ファットタイプのブロックタイヤ、専用のサスペンションを備え、ダート走行にも対応できる高い走破性を誇りました。

日本での生産終了後、初代モデルの金型はフランスのMBK社に譲渡され、「MBK Booster」として販売され、大ヒットを記録しました。

1998年にはフルモデルチェンジを行い、2代目BW'S50が登場。台湾ヤマハによる製造・日本への輸入販売体制に移行しました。デザインはシャープになり、ヘッドライトはカウル埋め込み式からオープンタイプに変更、フロントディスクブレーキとキャストホイール、ハンドルガード、メットイン収納などが追加され、利便性が向上しました。

その後、北米市場向けに販売されたZuma（ズマ）の生産は継続されましたが、日本での生産は終了。2012年には、北米仕様Zumaの4ストロークエンジン搭載モデル「Zuma50F」をベースに、3代目BW'S50（YW50F）が発売されました。デザインは2代目と共通しつつ、フロントライトの大型化、リアキャリアの大型化などが行われ、タイヤは前後共通化されました。2016年にはエンジンを新型に換装し、セッティングの最適化が図られました。2017年には、排出ガス規制強化に伴い日本での生産が終了しました。欧州市場では、初代モデルをベースにした「BW's Original」が現在も販売されています。

BW'S100

BW'S100は、2代目BW'S50の車体に、グランドアクシスと同型の101cc強制空冷2ストロークエンジンを搭載したモデルです。主に台湾で生産されました。

BW'S125

2008年に登場したBW'S125Fi（YW125T）は、台湾ヤマハが製造し、当初はプレストコーポレーションが輸入販売していました。4ストロークエンジンを搭載し、シグナスXを系譜に持つモデルとして知られています。特徴的な縦目2灯のヘッドライトや、戦闘機のアフターバーナーを思わせるテールライトがデザイン上のポイントでした。

2010年には、足回りをオンロード仕様に変更したモタードモデル「BW'S X」が登場しました。メーターもアナログからデジタルに変更されています。

北米市場向けには「Zuma125」が販売され、現地の保安基準に合わせてヘッドライトが横型2灯に変更されました。

2015年にはフルモデルチェンジを行い、台湾仕様「BW'S R」、日本仕様「BW'S125（YW125X）」が登場しました。シグナスX-SRをベースに、ヘッドライトを左右別構造の2灯式に変更、ハンドルガードや専用メーター、専用タイヤなどを採用しています。エンジンはシグナスX-SRと同型が搭載されています。フレームもシグナスX-SRと共通であるため、外装変更版と見なされる場合もあります。

まとめ

BW'Sシリーズは、オフロードテイストのレジャーモデルから、現代的なデザインと性能を兼ね備えたスクーターへと進化を遂げてきました。それぞれのモデルが異なる市場ニーズに対応し、世界中で販売されてきた歴史を持つ、ヤマハを代表するスクーターシリーズの一つです。

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