ヤマハ・BW200

ヤマハBW200：アメリカで人気を博した個性派オフロードバイク

ヤマハ発動機は、1985年、個性的なデザインと高い悪路走破性を誇るオフロードバイク、BW200をアメリカ市場に投入しました。このモデルの最大の特徴は、その極太のバルーンタイヤです。一般的なオートバイのタイヤよりもはるかに太いこのタイヤは、砂地やぬかるみなど、通常のタイヤでは走行困難な悪路でも安定した走行を実現しました。その高い走破性と独特なスタイリングは、アメリカ市場で高い人気を獲得することとなります。

同年、日本国内でもBW200の販売が開始されました。しかし、アメリカでの成功とは対照的に、日本市場でのBW200は予想を下回る人気にとどまりました。そのため、日本での販売はわずか1年で終了することになります。一方、輸出モデルは1989年まで製造が継続され、世界各国でその性能を評価されました。

BW200は、その独特のバルーンタイヤと高い悪路走破性だけでなく、そのデザイン性も高く評価されました。当時としては斬新なデザインは、多くのライダーの心を掴み、個性的なマシンを求めるユーザー層から支持を得ました。

BWシリーズには、BW200以外にも様々なモデルが存在しました。排気量の異なるBW350は、よりパワフルな走行を求めるユーザーに人気がありました。また、子供向けに設計されたBW80は、ヘッドランプなどの保安部品を省略したシンプルな構造が特徴でした。これらのモデルも、それぞれ独自の個性と魅力を持って市場に投入され、BWシリーズ全体の成功に貢献しました。

興味深いことに、有名な冒険家でライダーでもある風間深志氏は、1987年の北極点チャレンジにおいて、BW200をベースとしたカスタマイズマシンを使用しました。極寒の環境下、過酷な状況下での走行を可能にしたBW200の性能の高さが、このエピソードからも窺えます。

1987年から発売されたヤマハTW200は、BW200から受け継いだバルーンタイヤを採用したモデルとして知られています。TW200はBW200の系譜を受け継ぎながら、より洗練されたデザインと扱いやすさで、長きにわたって人気を博しました。

BW200は、その短命な国内販売期間にもかかわらず、アメリカ市場での成功や、その後のモデルへの影響、そして冒険家による挑戦など、多くのエピソードを残した個性豊かなオートバイと言えるでしょう。その存在は、ヤマハ発動機のチャレンジ精神と、独自の技術力の高さを示す象徴的なモデルとして、今もなお語り継がれています。

参考文献：『20世紀のアイアンホース達』、大洋図書、2000年、ISBN 4-8130-0150-5

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