ヤマハ・DT

ヤマハDTシリーズ：オフロードバイクの歴史を彩る名車たち

ヤマハ発動機は、長年にわたってオフロードバイク市場において、数々の伝説的なモデルを生み出してきました。その中でも特に人気を博し、多くのライダーに愛されてきたのが、DTシリーズです。本稿では、DTシリーズの歴史を紐解きながら、それぞれのモデルの魅力や特徴を詳細に見ていきます。

DTシリーズ誕生秘話とネーミングの由来

DTシリーズの「DT」という名前は、ヤマハの公式発表によると、「D」はDual Purpose（デュアルパーパス）、「T」はTrail（トレール小道）を表しています。ただし、このデュアルパーパスは、現代のようなオンロードとオフロードの両用という意味合いではなく、砂漠やガレ場といった過酷な路面状況でも走破できることを意味していると言えるでしょう。

各モデルの特徴と歴史

DT-1（1968年）

1968年に登場したDT-1は、国産初のオフロード専用設計の公道走行可能な市販車として、大きな話題を呼びました。モトクロッサーYX26をルーツとする249cc空冷2ストローク単気筒エンジンは、18.5馬力を発生。初期型にはウインカーが装備されていなかったという逸話も残っています。洗練されたデザインはグッドデザイン賞を受賞しており、その高い評価がうかがえます。

DT250（1970年～1979年）

DT-1の後継モデルとして1970年に登場したDT250は、1979年までモデルチェンジを繰り返しながら販売されました。21馬力から23馬力まで出力向上を遂げ、サスペンションの強化、メーターの変更など、常に進化を続けました。1977年モデルでは250ccクラス初となるモノクロスサスペンションを採用し、高い走破性を誇ったことが特徴です。

DT400（1975年）

DT360をベースに排気量を拡大したDT400は、YZシリーズのデザインを取り入れた燃料タンク、ラジアルフィンヘッド、マグネシウム製ケースカバーなど、当時としては先進的な技術が採用されています。

DT360（1973年）

RT360の後継車として登場したDT360は、前輪に21インチホイール、アップフェンダー、センターアップマフラーなどを採用し、デザインを一新しました。351cc空冷2ストローク単気筒エンジンは、30馬力を発生。

DT125（1974年～1985年）

AT125の後継モデルとして登場したDT125は、1985年にDT125Rにフルモデルチェンジされるまで、エンジン性能やサスペンション、デザインなどを改良しながら、長きにわたって販売されました。特に1977年モデルからはモノクロスサスペンションを採用したことが特徴的です。

DT125R（1985年～）

DT125Rは、DT200Rと同様、YPVSやYEISなどの先進技術を搭載した水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載したモデルです。欧州市場でも高い人気を博し、2007年まで生産が続けられました。

DT200R（1984年～1989年）

「ウィークエンド・モトクロッサー」というキャッチコピーで登場したDT200Rは、125ccの扱いやすさと250ccのパワーを両立したモデルとして人気を博しました。YPVSやYEISなどの吸排気系システムを採用した195cc水冷2ストローク単気筒エンジンは、30psを発揮。リンク式モノクロスサスペンションやアルミスイングアームなど、足回りも充実していました。

DT200WR（1991年）

DT200WRは、YZシリーズをベースとしたエンジンを搭載したモデルで、軽量さと優れたハンドリングが特徴です。バッテリーレスのCDIユニットや倒立式フロントサスペンションを採用するなど、レーサーレプリカとしての要素が強いモデルでした。

DT230 LANZA（1997年～1998年）

DT230 LANZAは、セルモーター、トラクションコントロール、デジタルメーターなどを装備した、トレールモデルです。国内での販売はわずか2年間でしたが、その高い走行性能と扱いやすさから、根強い人気を誇っています。

DT50（1982年～）

DT50は、RZ50譲りの水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載したモデルで、長年にわたって販売されました。モデルチェンジはほとんど行われず、カラーリングの変更や一部装備の追加などが行われた程度でした。

DTシリーズの系譜と影響

DTシリーズは、ヤマハのオフロードバイク開発において重要な役割を果たしました。各モデルで培われた技術やノウハウは、後のモデルにも継承され、ヤマハのオフロードバイクの進化に大きく貢献しました。また、DTシリーズの人気は、日本のオフロードバイクブームを牽引する一因にもなりました。

まとめ

ヤマハDTシリーズは、その優れた性能と高い信頼性で多くのライダーを魅了し、オフロードバイクの歴史に大きな足跡を残しました。各モデルの個性的な特徴や、時代背景を踏まえて振り返ると、その魅力をより深く理解することができるでしょう。

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