ヤマハ・TDR

ヤマハTDRシリーズ：オフロードとロードの融合

ヤマハ発動機が製造販売していたオートバイシリーズ「TDR」は、高い走行性能と個性的なデザインで多くのライダーを魅了しました。本記事では、TDRシリーズの中でも特に人気を集めたモデルを中心に、その歴史、特徴、スペックなどを詳細に解説します。

TDR250：レーサーレプリカの血統

1988年1月に登場したTDR250は、シリーズのフラッグシップモデルとして君臨しました。そのベースとなったのは、1987年のファラオラリーで250ccクラス優勝を果たしたマシンです。TZR250と同じ水冷2サイクル並列2気筒エンジンを搭載し、最高出力45psを誇るパワフルな走りを実現しました。

特徴的なのは、タンクと一体化したボディマウントカウル。レーサーレプリカ譲りのスポーティなデザインは、当時多くのライダーを虜にしました。加速性能を重視したセッティングにより、0-100km/h加速は5秒弱という驚異的な速さを誇りました。

足回りも充実しており、フロントには320mmの大径ディスクとフローティングキャリパー、そしてバリアブルタッチブレーキシステムを採用。オフロード走行でも高い制動力を発揮しました。前後18インチと17インチのホイールに装着されたタイヤは、スポーティな走りとオフロードでの走破性を両立させていました。

TDR80/50：手軽に楽しめるTDR

TDR250の弟分として1988年7月に登場したTDR80/50は、水冷2サイクル単気筒エンジンを搭載。TDR250譲りのデザインと、扱いやすい車体サイズで人気を博しました。

エンジンは中低速重視のセッティングで、扱いやすさが特徴です。フロント140mm、リヤ130mmのホイールトラベルを持つサスペンションは、オフロード走行にも対応できる性能を備えていました。また、前後ディスクブレーキや軽量なアルミキャストホイールも装備。8Lのガソリンタンクとボディマウントカウルは、TDR250のデザインを踏襲していました。

TDR125：欧州テイストのモタード

1993年に登場したTDR125は、イタリアのベルガルタ・ヤマハで生産されたモデルです。日本国内で販売されていたTDRシリーズとは異なり、TDMシリーズのデザインを受け継いでいました。丸目二灯のヘッドライトが特徴で、DT125Rをベースにモタード仕様に仕上げられたスタイリッシュなマシンです。

TDR125は、大きく分けてイタリア生産モデルと日本国内生産モデルの2種類があります。イタリア生産モデルは、レッドバロングループによって輸入され、日本でも人気を博しました。一方、日本国内生産モデルは主に輸出向けに生産され、電装系が12V化されるなど、より洗練された仕様となっていました。しかし、ヨーロッパの排ガス規制に対応するため、パワーが制限されていた点が特徴です。

まとめ：多様な魅力を持つTDRシリーズ

ヤマハTDRシリーズは、250cc、80cc、50cc、125ccと幅広い排気量で展開され、それぞれに個性的な魅力を持っていました。レーサーレプリカ的なスポーティさ、オフロード走行への対応力、そして扱いやすさなど、TDRシリーズは多くのライダーのニーズに応えるモデルでした。これらのモデルは、日本のバイク史において重要な役割を果たし、現在でも多くのファンを魅了し続けています。それぞれのモデルの個性的なデザインや高い走行性能は、現代のバイクにも影響を与えていると言えるでしょう。

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