ヤマハ・TW

ヤマハTW：トレールウェイの系譜と街乗りカスタム文化

ヤマハTW（ティーダブリュー）は、ヤマハ発動機が製造販売したオートバイです。愛称は「ティーダブ」などと呼ばれ親しまれてきました。特徴的な太いタイヤと、オフロードと街乗りの両面を併せ持つその存在は、発売以来多くのライダーを魅了しました。しかし、2008年には国内仕様車の生産が終了。その歴史と魅力、そして生産終了の背景を探ります。

1987年のデビューとオフロード性能

1987年4月、TW200として誕生しました。「Trail Way」を略した車名のとおり、道なき道を走破するアドベンチャーマシンを目指して開発されました。最大の特徴は、その極太タイヤ。一般的なバイクとは一線を画す、迫力あるフォルムが目を引きます。

搭載された200cc空冷単気筒エンジンは、16psとあえて中低速重視のセッティング。高度補正キャブレターとの組み合わせにより、高い走破性を誇り、過酷な環境下でもその実力を発揮しました。実際に、冒険家・風間深志氏の北極点到達チャレンジでもベースマシンとして活躍しています。

街乗りカスタムブームと新たな文化

当初はオフロードマシンとして登場したTWですが、1990年代後半からは、その個性的なデザインと太いタイヤが若者を中心に人気を集め始めます。街乗りカスタムベースとして注目を集め、「ティーダバー」と呼ばれるカスタム文化が生まれました。

特に、モトショップ五郎が手掛けたストリートカスタムは大きな影響を与え、シンプルで個性的なデザインは多くのフォロワーを生み出しました。また、「スカチューン」と呼ばれる、バッテリーレス化などによって車体を極限までシンプルにしたカスタムも流行しました。

2000年に放送されたテレビドラマ『ビューティフルライフ』で、木村拓哉さん演じる主人公の愛車として登場したことで、TWの人気が再燃。納車まで数ヶ月待ちとなる販売店も続出するほどの人気ぶりでした。

モデルバリエーションと進化

TWシリーズは、TW200から始まり、その後TW200E、TW225へと進化を遂げました。ヘッドライトやウインカーのデザイン、ブレーキシステム、タイヤ、マフラーなど、各モデルで少しずつ変更が加えられ、性能やデザインの向上を図っています。

TW225は、2002年から2007年まで販売され、20周年を記念した限定モデルも発売されました。また、北米向け輸出仕様のTW200や、欧州向け輸出仕様のTW125なども存在しています。

生産終了の背景

2008年、国内仕様車の生産が終了しました。その背景には、強化された排ガス規制があります。キャブレターを採用していたTWシリーズは、規制に対応するために電子制御燃料噴射システムや排ガス浄化システムの導入が必要でした。莫大な開発費用と時間を要するため、経営判断として生産終了が決定されました。

ヤマハTWの遺産

生産は終了したものの、ヤマハTWは、その個性的なデザインと高い走破性、そして街乗りカスタム文化への貢献によって、オートバイの歴史に大きな足跡を残しました。現在でも中古車市場で人気が高く、多くの愛好家から大切にされています。独特の個性と魅力は、多くのライダーの心に残り続けています。

付記

本稿では、2009年のリコール情報なども含め、可能な限り詳細な情報を網羅しております。 また、静岡市オフロードバイク隊でのTWの運用状況なども紹介することで、多様な側面からの理解を促進しています。

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