ヤマハ・VOX

ヤマハVOX：若者世代を魅了したスクーター

ヤマハ発動機から販売されていたスクータータイプのオートバイ、VOXは、2006年5月の発売以来、多くのライダーを魅了しました。キャッチコピーは「アソビバコ！」。その名の通り、遊び心をくすぐるデザインと、実用的な機能性を兼ね備えた一台として、特に若年層を中心に人気を博しました。

デザインと機能性の融合

VOX最大の特徴は、なんといってもそのデザインです。丸みを帯びたヘッドライト、ファットタイヤ、そしてシンプルながらも洗練されたボディラインは、他のスクーターとは一線を画す存在感を放っていました。さらに、車体座席下部には、テニスラケットも収納可能な34リットルの大容量スペースを備えており、実用性も兼ね備えていました。この斬新なデザインと高い機能性が評価され、2006年にはグッドデザイン賞を受賞しています。

パワフルなエンジンと進化

エンジンは、ヤマハ50ccクラス初となるフューエルインジェクションを搭載。5.2馬力というクラストップレベルのパワーを誇り、軽快な走りを提供しました。2007年3月にはマイナーチェンジを行い、カラーリングやエンブレムデザインの変更、オイルダンパーの採用など、さらなる改良が施されました。また、メッキパーツを多用した高級感のある「DX（デラックス）」グレードも追加されました。DXと通常グレードの違いは主に外観上の装飾であり、走行性能に違いはありませんでした。

コラボレーションモデルと輸出

2007年には、楽器用アンプメーカーVOXとのコラボレーションモデル「VOX ＆ VOX」が発表されました。楽器フェアやNAMM Showで展示され、話題を呼びました。また、VOXは海外でも販売されており、北米では「C3」、ヨーロッパでは「Giggle」という名称で親しまれていました。

改良と限定モデル

2009年3月には、エンジン出力の変更が行われました。他車種との出力バランスを考慮し、1馬力デチューンされました。通常グレードも同様にモデルチェンジを受けました。2013年には1,000台限定の特別モデル「VOX XF50L」が発売され、多くのファンを喜ばせました。

生産終了

2017年9月1日、平成28年度自動車排出ガス規制強化に伴い、VOXの生産は終了しました。しかし、その独特のデザインと高い機能性、そして数々の限定モデルやコラボレーションモデルは、多くのライダーの記憶に強く刻まれています。VOXは、ヤマハのスクーター史に燦然と輝く、一台と言えるでしょう。

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