ヤマハ・YZF-R17
ヤマハYZF-R17：鈴鹿8耐を戦った異色のレーサー
ヤマハYZF-R17は、鈴鹿8時間耐久ロードレースのXX-FおよびDiv.1クラス参戦のために開発された、レーサータイプのオートバイです。このマシン最大の特徴は、YZF-R7の車体にYZF-R1のエンジンを搭載している点にあります。
当時、市販されていたYZF-R1は、スーパーバイクレースのレギュレーションに対応したフレームではありませんでした。そのため、改造範囲無制限のクラスであるXX-FやDiv.1クラスでは、より強力なエンジンを搭載するために、既存のフレームを流用する手法がいくつかのチームで用いられていました。YZF-R17も、その手法を採用した代表的なマシンの一つです。
エンジンは、様々な年式のYZF-R1から流用されており、搭載されるエンジンの仕様は、チームや参戦時期によって異なっていたと考えられます。
YZF-R7の車体をベースにしている理由は、その高い信頼性と、改造の容易さにあると考えられます。既に実績のある車体を使用することで、開発期間の短縮やコスト削減に繋がったことは容易に想像できます。一方、YZF-R1のエンジンを搭載することで、圧倒的なパワーと、レースで勝つためのポテンシャルを獲得できたのです。
しかし、2004年以降に発売されたYZF-R1（型式：5VY）は、スーパーバイクレースに対応したフレームに変更されました。それに伴い、XX-Fクラス自体が廃止されたため、YZF-R17は姿を消しました。
YZF-R17は、レギュレーションの隙間を突いた、いわば「特注品」ともいえるマシンでした。その希少性と、レースへの挑戦を象徴する存在として、オートバイ史にその名を刻んでいます。
YZF-R17の諸元（CLUB YAMAHA MOTORCYCLE TEAM車両）
以下に、CLUB YAMAHA MOTORCYCLE TEAMが使用したYZF-R17の諸元を示します。正確な数値は、使用年式やチームによって異なる可能性があることをご了承ください。
| 項目 | 内容 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|---|
| --- | ------ | --- | --- |
| 型式 | YZF-R17 | 全長 | 2060mm |
| 全幅 | 720mm | 全高 | 1125mm |
| 軸間距離 | 1400mm | シート高 | 840mm |
| 最低地上高 | 120mm | 乾燥重量 | 176kg |
| エンジン種類 | 4サイクル/水冷/DOHC/20バルブ | 気筒数配列 | 並列4気筒 |
| 総排気量 | 998cc | 内径×行程 | 77.0mm×53.6mm |
| 圧縮比 | 11.0:1 | 燃料供給 | - |
| 最高出力 | - PS/- rpm | 最大トルク | -kg-m/- rpm |
| 燃料タンク容量 | 23.0L | エンジンオイル容量 | 4.0L |
| 第1速 | 2.235 | 第2速 | 1.895 |
| 第3速 | 1.667 | 第4速 | 1.435 |
| 第5速 | 1.292 | 第6速 | 1.174 |
| 減速機 | 歯車形式 チェーンドライブ | 減速比 | 2.294 |
| フロントタイヤ | 120/70ZR17 | リアタイヤ | 180/55ZR17 |
| フロントブレーキ | 油圧式ダブルディスク | リアブレーキ | 油圧式シングルディスク |
このYZF-R17は、非常に限られた期間、限られた場所で活躍したマシンです。その稀少性と、レースへの情熱を詰め込んだマシンとしての魅力は、今もなお多くのモータースポーツファンの心を掴んでいます。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。