ヤルタ会談

ヤルタ会談の詳細

1945年2月4日から11日までの間、ソビエト連邦のクリミア自治ソビエト社会主義共和国にて、イギリス、アメリカ合衆国、ソ連の首脳が集まったヤルタ会談が開催されました。この会議は第二次世界大戦の終盤に行われ、戦後の国際秩序を築くための重要な場となったのです。

ヤルタ会談の背景

1945年初頭、ソビエト連邦軍はポーランドを占領し、同時にアメリカとイギリス連合軍も西部戦線で進撃していました。このような背景の中、連合国首脳が集まり、戦争の終結後の世界の枠組みについて協議しました。

会議では、ドイツの分割管理、ポーランドの国境設定、さらにはバルト三国の取り扱いについて話し合われました。また、戦後の国際連合の設立についても重要な決定がなされました。この会談は「ヤルタ体制」として知られる国際システムの基盤を形成するものであり、後の冷戦へとつながる重要な要因とされています。

国際連合の設立と拒否権

ヤルタ会談の際、特に注目されたのが国際連合の成立です。この会議での議論の結果として、5つの常任理事国に拒否権が与えられることが決まりました。アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中華民国（後の中華人民共和国ではなく、当時の中華民国）という国々がこの権利を持つことになりました。

ソ連のスターリンは、特にウクライナとベラルーシの加盟を要求し、ルーズヴェルト大統領はこれに対して難色を示しましたが、最終的には妥協が成立。これにより、ソ連は国連内で実質的に3票を持つことになりました。

ポーランド問題

ヤルタ会談の議題の中で大きな割合を占めたのがポーランド問題です。1939年にドイツとソ连がポーランドに侵攻したことが、この国の政権に大きな影響を与えました。ソ連はポーランド国民解放委員会という共産党政権を成立させ、イギリスは亡命政府を承認していました。この双方の政権を巡る対立は非常に激しく、最終的にはアメリカの仲介によって政治体制が決まる方向へと進められました。

スターリンは亡命政府の指導者を逮捕し、ポーランドのソ連系共産党政権を強化する形で他の政権を潰す方針を決定しました。これが後のアメリカとの対立、すなわち冷戦の始まりにつながる要因となったのです。

ドイツ問題

また、ドイツの領土に関連する議論も重要でした。ドイツは戦後、東プロイセンなどの領土を失うことが決定され、これによりソ連とポーランドの境界の再設定が行われ、国際社会におけるドイツの位置づけが変わることとなります。最終的にベルリンを含むドイツの分割管理が決定され、戦後のドイツ情勢を固定化する一因となりました。

極東密約と日本の領土

この会談では、ソ連の対日参戦についても議論されました。アメリカとソ連の秘密協定により、ソ連はドイツの降伏後に日本に対して戦争を仕掛けることになりました。結果として、南樺太、千島列島の領有権がソ連に与えられ、これが後の北方領土問題の源流となりました。

台湾と朝鮮半島の扱い

ヤルタ会談では、台湾を中華民国に返還することも確認され、朝鮮半島については信託統治することが決定されました。最終的にその分割は北緯38度線を境に行われ、これが朝鮮戦争へとつながることになります。

会談の影響

ヤルタ会談は、戦後の国際秩序に多大な影響を及ぼしました。その結果、アメリカ中心の資本主義国陣営とソ連中心の共産主義国陣営との対立が強まり、冷戦が始まるきっかけとなったと広く認識されています。また、会談の結果に対する批判もあり、2005年にはアメリカのブッシュ大統領がこの合意を「史上最大の間違い」と述べるなど、長きにわたって議論の的となっているのです。

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