ヤングリ

ヤングリの生涯と歴史的役割

ヤングリは、クルカ地方に属するシュムル氏の女真族の武将であり、満洲国が樹立される初期から重要な地位を占めていました。彼は、ヌルハチ（清太祖）に仕官し、およそ40年以上にわたって、大小合わせて100以上の戦役に参加し、その武勲によって大清国の勢力拡大に寄与しました。特に太宗ホン・タイジの李氏朝鮮侵攻において命を落とし、唯一の異姓王として追封されるという名誉を受けました。

略歴

ヤングリの父、ランジュはクルカ部の酋長であり、早期からヌルハチを支持していました。そのためヤングリは若いころからヌルハチの侍衛として重用されました。しかし、父が叛徒によって殺害され、一族が危機に陥った際、彼の母親は幼い弟を背負いながら武装し、一族を救うために戦い、ヌルハチのもとへ戻りました。このエピソードは、ヤングリが14歳の時に父の仇を見つけて討ち取ったという、彼の復讐心の根源ともいえます。

ヌルハチ時代

ヌルハチはヤングリに深く信任を寄せ、彼は満洲の正黄旗に編入されました。ヤングリは凄まじい警備能力で鴨緑江に駐屯し、傅くべき者が入る隙も与えないほど厳格な守備を行いました。その後、彼は多くの戦功を上げ、特に遼陽攻略においては顕著な成果を挙げ、その功績により一等総兵官の地位を与えられました。

ホン・タイジ時代

ホン・タイジの時代には、ヤングリは再び力を発揮し、明朝の討伐活動や朝鮮への侵攻に従事しました。彼の武勲は高く評価され、左翼超品一等公という高い爵位を受け、それに加えて「世襲不替」の特権を与えられました。彼はまた、特別な冠飾りを授けられるという光栄も享受しました。

最後の戦いと死

崇徳2年、ヤングリは李氏朝鮮の増援部隊を迎撃する使命を帯びて出陣しました。悪天候の中で敵陣を見つけ、ドドと共に攻撃を準備していましたが、岩窟に隠れていた敵兵に襲われ、重傷を負ってその場で命を落としました。66年の生涯を閉じたヤングリの死はホン・タイジをはじめ、多くの者に惜しまれ、彼の功績は武勲王として追封されることで称えられました。彼の墓には、皇帝の衣服が納められ、碑が建てられました。

戦歴

ヤングリは数々の戦役に参加し、特に満州国成立に大きな影響を与えました。彼の戦歴には、1593年から1637年までのさまざまな戦闘が含まれ、その中には珠舍哩、ホイファ城、烏拉河の戦、さらには李氏朝鮮との交戦も記録されています。彼の勇敢さと戦略的才能は、満洲国の初期の繁栄に寄与した重要な要素となりました。

家族と子孫

ヤングリの家庭は、父の影響や彼自身の業績に多くの影響を受けました。彼の子孫も後の世で様々な地位について活躍しました。長子アハダンやその子孫たちは、満洲国の中で重要な役職に就いており、ヤングリの遺志を受け継いでいます。

このように、ヤングリは満洲国の形成において欠かせない人物であり、彼の生涯は歴史的に重要な意味合いを持っています。

もう一度検索