ヤン・スィロヴィ

ヤン・スィロヴィー（Jan Syrový、1888年1月24日 - 1970年10月17日）は、チェコスロバキアの軍人、政治家です。姓はシロヴィーとも表記され、名前はジャンと読まれることもあります。

彼は、ロシア内戦時のチェコ軍団司令官であり、チェコスロバキア独立後は首相、国防相を歴任しました。最終階級は上級大将です。

生涯

オーストリア＝ハンガリー帝国のトレビッチ（現チェコ南部のトシェビーチ）で生まれました。技術学校で建築学を学んだ後、1906年にオーストリア＝ハンガリー陸軍に一年志願兵として勤務し、その後ロシアの技術専門学校に通いました。

第一次世界大戦勃発後の1914年9月、ロシア帝国軍のチェコ義勇隊に入隊し、南西戦線に従軍。1917年7月、ズボーリゥの戦いで右目を失いました。1918年3 - 5月には、中尉の階級でチェコ軍団第2連隊長となりました。

ロシア内戦時には、クルガン－ズラトウスト－チェリャビンスク－オムスクのラインのチェコスロバキア人部隊を指揮。第2、第3チェコスロバキア狙撃連隊、第6チェコスロバキア狙撃連隊の2個大隊、第3予備連隊、第3打撃中隊、第1砲兵中隊の計9千人が彼の指揮下に入りました。

1918年5月26日に蜂起し、チェリャビンスクを奪取。同年6月18日、ズラトウストでシベリア・グループと合流しました。同年12月初めには、白軍のカペルとヴォイツェホフスキーに支援を約束しましたが、時機を逸していました。1918年8月から少将に昇進し、1920年9月の撤退までチェコ軍団司令官を務めました。同時に1918年末 - 1919年初めまで「人民軍」西部戦線司令官を兼任。極東で活動していたコルチャークの支援には消極的で、後に赤軍にコルチャークを引き渡しました。

1920年9月、チェコスロバキアに帰国。1926年3 - 10月には国防相を務め、1927年にはチェコスロバキア軍参謀総長、1933年には軍監察総監に就任しました。1938年9 - 12月には、首相兼国防相として、9月30日にミュンヘン協定の受諾を行いました。1938年12月には、国防相としてルドルフ・ベラン内閣に入閣。

1939年3月、チェコスロバキアが解体され、チェコがナチス・ドイツの保護領とされた後も、保護領政府の国防相として留任しました。

第二次世界大戦中は、ナチスから軍人や物資を遠ざける活動を支援しましたが、積極的な反ナチス運動には加わらず中立を維持したため、終戦後にナチスへの協力者として禁固20年を言い渡されました。1960年、恩赦され釈放されました。

スィロヴィーの生涯は、激動の時代における複雑な選択と、その後の評価の難しさを示しています。

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