ヤヴォル公国

ヤヴォル公国（ポーランド語：Księstwo Jaworskie、チェコ語：Javorské knížectví、ドイツ語：Herzogtum Jauer）は、中世シロンスク地方に存在した公国の一つです。首都はヤヴォルに置かれました。

公国の成立

ヤヴォル公国の起源は、1274年にレグニツァ公ボレスワフ2世が、長男のヘンリク5世にヤヴォル一帯を与えたことに始まります。1278年、ヘンリク5世が父の跡を継いでレグニツァ公となると、弟のボルコ1世にヤヴォルを譲渡しました。ボルコ1世は、1286年に弟ベルナルトからルヴヴェクを相続し、1291年には兄ヘンリク5世からシフィドニツァとジェンビツェを譲り受けました。これらの地域は元々、ヘンリク4世の死後にヘンリク5世が獲得したヴロツワフ公国の一部でした。この結果、公国は短期間ヤヴォル＝シフィドニツァ公国として知られるようになります。

公国の分割と再統合

1312年、ボルコ1世の息子たちが公国を分割相続した際、シフィドニツァとジェンビツェはヤヴォルから分離し、ヤヴォルは次男のヘンリク1世が領有しました。ヘンリク1世が1346年に死去すると、ヤヴォルは甥にあたるシフィドニツァ公ボルコ2世によって相続され、再びシフィドニツァと統合されました。

ボヘミア王国への併合

ボルコ2世は、ボヘミア王国に対して独立を維持したシロンスク・ピャスト家の最後の公爵でした。しかし、後継となる子供がいなかったため、1353年に姪のアンナと結婚した神聖ローマ皇帝兼ボヘミア王カール4世との間で、相続に関する協定を結びました。この協定により、ボルコ2世の死後、ヤヴォル公国はボヘミア王国に併合されることが決定しました。ボルコ2世は1368年に亡くなり、その後は未亡人アグネスが公国を管理していましたが、1392年にアグネスが死去したことで、ヤヴォル公国は正式にボヘミア王冠領の一部となりました。

ヤヴォル公国の歴史は、シロンスク地方における公国の分裂と再編、そしてボヘミア王国の勢力拡大という、中世ヨーロッパの政治的変動を反映しています。

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