ユスキュダル

ユスキュダル：イスタンブールの魅力的な対岸の街

イスタンブール、ボスポラス海峡を挟んでアジア側に位置するユスキュダル。古くはクルソポリス、スクタリと呼ばれたこの街は、紀元前7世紀にメガラ人が造船所を建設したことにその起源を持つとされています。豊かな歴史と活気に満ちた現在が共存する、イスタンブールの魅力的な一面を垣間見ることができる場所です。

歴史の重みと活気ある現在

カルケドンの港として栄え、ペルシアへの貢物の集積地でもあったクルソポリスは、14世紀にオスマン帝国の支配下に入ります。1453年のコンスタンティノープル陥落後、イスタンブールとともに発展を遂げ、アナトリアからの隊商貿易の中心地として繁栄しました。クリミア戦争時にはイギリス軍の基地となり、フローレンス・ナイチンゲールが活躍した陸軍野戦病院が置かれたことでも知られています。現在も、歴史的建造物が街の景観に溶け込み、古き良き時代の面影を残しています。一方で、商業や工業も盛んで、ハイダルパシャ駅はアンカラやバグダード方面への鉄道の起点として、現代の活気を象徴しています。

オスマン建築と多様な文化

ユスキュダルには、数多くのモスクが建ち並びます。中でも、セリム2世の妃ヌール・バヌーによって1573年に建立されたアトク・ワリデ・ジャーミは、その美しい建築様式で知られています。これらのモスクは、オスマン帝国時代の建築技術の高さと、豊かな文化遺産を物語っています。街全体に漂う歴史的な雰囲気は、訪れる人々を魅了する大きな要素となっています。多様な文化が交差し、伝統と現代が調和する独特の空間が、ユスキュダルの魅力です。

世界に羽ばたく歌と国際交流

ユスキュダルは、トルコ民謡「ウスクダラ」の舞台としても有名です。日本では江利チエミの歌唱で広く知られていますが、日本語訳詞は原歌詞とは異なるエキゾチックな内容となっています。この歌は、ユスキュダルの魅力を世界に発信する役割を果たし、多くの人々の心に響いています。

さらに、ユスキュダルは、日本の東京都渋谷区と2005年に友好都市協定を締結しました。両都市間の交流は活発で、「渋谷通り」と名付けられた通りがユスキュダルに存在するほか、渋谷区立神宮前小学校には在日トルコ人子弟のためのインターナショナルスクールが設置されるなど、具体的な交流事業が進められています。これらの取り組みは、異なる文化同士の理解と友好を深める上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

まとめ：歴史と現代が織りなす魅力

ユスキュダルは、歴史の重みと現代の活気が共存する、イスタンブールを代表する魅力的な街です。古くからの歴史的建造物、活気あふれる商業地、そして国際交流といった様々な要素が融合し、独特の雰囲気を作り出しています。ボスポラス海峡の美しい景色も相まって、ユスキュダルは、イスタンブールを訪れる際には必ず訪れたい場所の一つと言えるでしょう。その歴史、文化、そして国際交流の取り組みは、これからも多くの人々を惹きつけ続けるに違いありません。

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