ユダヤ芸術歴史博物館

ユダヤ芸術歴史博物館：歴史と文化の架け橋

パリのマレ地区に佇むユダヤ芸術歴史博物館（Musée d'art et d'histoire du judaïsme: mahJ）は、フランスにおけるユダヤ教の芸術と歴史を専門とする最大の博物館です。中世から現代に至るまでのヨーロッパとマグレブ地域のユダヤ人の歴史と文化を、多角的に紹介しています。

豊富なコレクション

博物館は、美術工芸品、祭具、民族衣装、装身具など、多岐にわたるコレクションを所蔵しています。また、ユダヤ人の歴史に関する貴重な史料や、エコール・ド・パリの画家をはじめとする現代ユダヤ系アーティストの作品も豊富です。館内には図書館や書店も併設されており、ユダヤ文化に関する知識を深めることができます。約200席の講堂では、講演会、シンポジウム、コンサート、映画上映会などが開催され、文化交流の場ともなっています。

展示室のご案内

展示室はテーマ別に構成されており、ユダヤ人の歴史と文化を深く理解することができます。

古代から中世まで: 中世のユダヤ人追放令や、キリスト教世界におけるユダヤ人社会の形成について学ぶことができます。13世紀のパリのユダヤ人墓地の墓碑などが展示されています。
ルネサンスから18世紀までのイタリアのユダヤ人: イタリア各地のユダヤ文化を紹介。モデナの聖櫃や、当時のユダヤ教の儀式を描いた絵画などが展示されています。
ハヌカー ― 光の祭り: 様々な国のハヌッキーヤー（燭台）が集められ、ディアスポラの歴史を垣間見ることができます。
アムステルダム ― 2つのディアスポラの出会い: ユダヤ人と他の民族の出会いに焦点を当て、17～18世紀のオランダ版画を通して、ユダヤ人の流浪の歴史をたどります。
エルサレムへの巡礼: 19世紀のオーストリアまたはドイツ南部で使用されていた仮庵（幕屋）が再現され、展示されています。
東欧のユダヤ人: アシュケナージ系ユダヤ人の歴史に焦点を当て、ポーランド、ウクライナ、リトアニアのシナゴーグの模型や、マルク・シャガールの絵画などが展示されています。
祭事と伝統: ユダヤ教の祭事や儀式、宗教実践に関する美術工芸品や祭具などが展示されています。
中近東諸国・マグレブ諸国のユダヤ人: スファラディ系ユダヤ人の伝統や儀式を紹介。民族衣装やシナゴーグの金銀細工品などが展示されています。
解放 ― フランスの場合: 19世紀フランスにおけるユダヤ人の解放の歴史をたどります。
ドレフュス事件から第一次世界大戦まで: ドレフュス事件に関する史料が展示されています。
欧州におけるユダヤ研究・政治運動: 19世紀末から20世紀初頭にかけてのユダヤ学の発展や政治運動を紹介します。
20世紀のユダヤ人アーティスト: マルク・シャガールやアメデオ・モディリアーニなど、エコール・ド・パリの画家を中心に、20世紀芸術において重要な役割を担ったユダヤ人アーティストの作品を展示しています。

サン＝テニャン館の歴史

博物館の建物であるサン＝テニャン館は、17世紀に建てられた歴史的な建造物です。外交官ダヴォー伯爵のために王室建築家ピエール・ル・ミュエが手掛け、古典主義的な様式で1650年に完成しました。その後、所有者が変わり、様々な用途で使用されましたが、1980年代から修復・改築が行われ、17世紀の貴族の館の優雅さを取り戻しました。

まとめ

ユダヤ芸術歴史博物館は、ユダヤの歴史、宗教、文化を深く理解するための貴重な場所です。豊富なコレクションや展示を通して、ユダヤ人の多様な生活や精神に触れることができます。パリを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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